角運動量保存則とは?
角運動量保存則は、系にはたらく外力のモーメント(トルク)の和が0であれば、系全体の角運動量が一定に保たれるという法則です。ニュートンの運動の法則を回転運動に拡張すると導かれ、エネルギー保存則・運動量保存則と並ぶ力学の三大保存則の一つです。
角運動量はどう計算する?
- 質点:L=r×p(回転中心からの位置ベクトルと運動量の外積)
- 固定軸まわりに回転する剛体:L=Iω(慣性モーメント×角速度)
- トルクとの関係:τ=dL/dt。トルクが0ならLは変化しません。
慣性モーメントIは、質量が回転軸から遠くに分布しているほど大きくなります。L=Iωが一定なので、Iが小さくなればωは大きく、Iが大きくなればωは小さくなります。
身近な例と宇宙の例
| 例 | 説明 |
|---|---|
| フィギュアスケートのスピン | 腕を体に引き寄せると慣性モーメントが減り、回転が速くなる |
| ケプラーの第2法則 | 惑星は太陽に近いと速く、遠いと遅く動き、面積速度が一定になる |
| 中性子星(パルサー) | 恒星が崩壊して半径が大きく縮み、非常に速く自転する |
| 回転いすの実験 | ダンベルを持った腕を縮めると、いすの回転が速くなる |
| ジャイロスコープ・自転車 | 回転する車輪は回転軸の向きを保とうとし、安定性を生む |
運動量保存則とは何が違う?
運動量は外力の和が0のとき、角運動量は外力のモーメントの和が0のときに保存されます。惑星のように中心方向だけに力(中心力)を受ける場合はトルクが0なので角運動量が保存され、これがケプラーの第2法則(面積速度一定の法則)の物理的な理由です。さらに深く見ると、ネーターの定理により空間の回転対称性が角運動量保存と結びついています。エネルギーの観点からの法則は熱力学の法則やエントロピーを参照してください。
よくある質問
- スケーターが腕を縮めるとき、エネルギーも保存されますか?
- 角運動量は保存されますが、回転の運動エネルギー(½Iω²)はむしろ増えます。増えた分は腕を内側に引く筋肉の仕事から来ています。
- 摩擦があると角運動量は保存されないのですか?
- 摩擦が外部トルクとしてはたらけば角運動量は減少します。保存則が厳密に成り立つのは外部トルクが0の場合です。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- Feynman, R. P., Leighton, R. B., & Sands, M. (1963). The Feynman Lectures on Physics, Vol. I. Reading, MA: Addison-Wesley.
- Halliday, D., Resnick, R., & Walker, J. (2013). Fundamentals of Physics (10th ed.). Hoboken, NJ: Wiley.
- Kepler, J. (1609). Astronomia Nova. Heidelberg: Voegelin.
