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ネガティビティ・バイアス

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ネガティビティ・バイアスとは、大きさが同じでも否定的な情報、感情、出来事が肯定的なものより人の注意、記憶、判断に大きな影響を与える傾向を指します。褒め言葉十よりも批判一つのほうが長く心に残る現象が代表例です。印象形成、人間関係、経済情報、ニュース消費などさまざまな領域で確認されており、危険にすばやく気づくことが生存に有利だったという進化的な説明がよく示されます。2001年のバウマイスターらの論文「悪いことは良いことより強い」が代表的な総合研究です。
目次
  1. 1. 概念の形成
  2. 2. 悪いことは良いことより強い
  3. 3. ニュース、経済、政治におけるネガティビティ
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念の形成

カヌースとハンソン(1972年)は、人を評価するとき否定的な情報が肯定的な情報より全体の印象に大きな重みをもつという「ネガティビティ効果」を整理しました。ピーターズとチャピンスキ(1990年)は、否定的な情報が感情的により強く迫る側面と、情報としてより診断的である側面を区別しました。テイラー(1991年)は、否定的な出来事はただちに強い生理・認知・行動の反応を動員するが、その後その影響を小さくする過程が続くという「動員-最小化仮説」を示しました。カーネマンとトベルスキー(1979年)のプロスペクト理論で、損失が同じ大きさの利得より大きく感じられるという損失回避も、ネガティビティ・バイアスの経済的な表れとしてよく解釈されます。

悪いことは良いことより強い

バウマイスターら(2001年)は、親密な関係、感情、学習、健康、印象形成などの膨大な研究を検討し、ほぼすべての領域で悪い出来事が良い出来事より強く長く続く影響を与えると結論づけました。ロジンとロイズマン(2001年)は、ネガティビティ・バイアスを、否定的な出来事がより強力に感じられる「否定的効力」、時間的に近づくほど否定性がより急に高まる「勾配」、混合した出来事の全体評価が否定の側に傾く「否定性優位」、否定的なものが接触だけで他を汚染する「分化」という4つの要素に整理しました。伊藤ら(1998年)は脳波実験で、否定的な画像が肯定的な画像より評価の過程で大きな反応を引き起こすことを示し、ヴァイシュ、グロスマン、ウッドワード(2008年)はこのバイアスが乳児期から現れると報告しました。

ニュース、経済、政治におけるネガティビティ

ソロカ(2006年)は、イギリスのメディアと世論が失業率や物価といった経済指標の悪化に改善よりはるかに強く反応するという非対称性を示しました。ソロカ、フルニエ、ニール(2019年)は17か国の参加者の生理反応を測定し、否定的なニュースが文化圏を越えてより大きな覚醒を引き起こすという証拠を示しました。ロバートソンら(2023年)は大規模なオンラインニュースの実験データから、見出しの否定的な単語が一つ増えるごとにクリック率が高まるという結果を報告しました。ヒビング、スミス、アルフォード(2014年)は、否定的な刺激への感受性の違いが政治的志向の個人差と関係すると主張し、活発な論争を呼びました。ネガティビティ・バイアスは利用可能性ヒューリスティックやダチョウ効果とともに情報処理の非対称性を説明するのに用いられます。

よくある質問

ネガティビティ・バイアスを簡単に言うと?
良いこと十よりも悪いこと一つのほうが大きく感じられ、長く記憶に残る傾向です。褒め言葉より批判が、良いニュースより悪いニュースが目につくのも同じ原理です。
ネガティビティ・バイアスと損失回避は同じですか?
重なりますが同じではありません。損失回避は同じ大きさの利得より損失を大きく感じる意思決定上の傾向で、ネガティビティ・バイアスは注意、記憶、印象形成などはるかに広い領域で否定的な情報がより強く働く現象を指します。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Kanouse, D. E., & Hanson, L. R. (1972). Negativity in evaluations. In E. E. Jones et al. (Eds.), Attribution: Perceiving the Causes of Behavior (pp. 47–62). Morristown, NJ: General Learning Press.
  2. Peeters, G., & Czapinski, J. (1990). Positive-negative asymmetry in evaluations: The distinction between affective and informational negativity effects. European Review of Social Psychology, 1(1), 33–60.
  3. Taylor, S. E. (1991). Asymmetrical effects of positive and negative events: The mobilization-minimization hypothesis. Psychological Bulletin, 110(1), 67–85.
  4. Kahneman, D., & Tversky, A. (1979). Prospect theory: An analysis of decision under risk. Econometrica, 47(2), 263–291.
  5. Ito, T. A., Larsen, J. T., Smith, N. K., & Cacioppo, J. T. (1998). Negative information weighs more heavily on the brain: The negativity bias in evaluative categorizations. Journal of Personality and Social Psychology, 75(4), 887–900.
  6. Baumeister, R. F., Bratslavsky, E., Finkenauer, C., & Vohs, K. D. (2001). Bad is stronger than good. Review of General Psychology, 5(4), 323–370.
  7. Rozin, P., & Royzman, E. B. (2001). Negativity bias, negativity dominance, and contagion. Personality and Social Psychology Review, 5(4), 296–320.
  8. Soroka, S. N. (2006). Good news and bad news: Asymmetric responses to economic information. The Journal of Politics, 68(2), 372–385.
  9. Vaish, A., Grossmann, T., & Woodward, A. (2008). Not all emotions are created equal: The negativity bias in social-emotional development. Psychological Bulletin, 134(3), 383–403.
  10. Hibbing, J. R., Smith, K. B., & Alford, J. R. (2014). Differences in negativity bias underlie variations in political ideology. Behavioral and Brain Sciences, 37(3), 297–307.
  11. Soroka, S., Fournier, P., & Nir, L. (2019). Cross-national evidence of a negativity bias in psychophysiological reactions to news. Proceedings of the National Academy of Sciences, 116(38), 18888–18892.
  12. Robertson, C. E., Pröllochs, N., Schwarzenegger, K., Pärnamets, P., Van Bavel, J. J., & Feuerriegel, S. (2023). Negativity drives online news consumption. Nature Human Behaviour, 7(5), 812–822.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。