利用と満足研究とは?
利用と満足研究(uses and gratifications)は、人々がなぜ、どんな欲求を満たすために特定のメディアを選ぶのかを説明するコミュニケーション理論です。1940年代のラジオ聴取動機の研究に始まり、カッツ、ブラムラー、グレヴィッチ(1973)が枠組みを整理しました。メディアの強い影響を強調した従来の効果研究とは異なり、問いを「メディアが人に何をするか」から「人がメディアで何をするか」へと転換した点が核心です。
基本的な仮定
- 受け手は能動的で、目的をもってメディアを利用する
- 欲求の充足とメディアの選択を結びつける主導権は受け手にある
- メディアは、友人との会話や趣味など他の欲求充足手段と競合している
- 人は自分の利用動機を自己報告できる程度には自覚している
人はどんな欲求でメディアを使うのか?
| 欲求 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 認知的欲求 | 情報・知識・理解 | ニュース、講義動画 |
| 感情的欲求 | 楽しさや感情体験 | ドラマ、音楽 |
| 個人的統合欲求 | 自信、地位、自己アイデンティティ | 自己啓発コンテンツ |
| 社会的統合欲求 | 家族や友人とのつながり | SNS、メッセージアプリ |
| 緊張解放の欲求 | 現実逃避、気晴らし | ゲーム、ショート動画 |
この分類はカッツ、グレヴィッチ、ハース(1973)の研究に基づいています。また、メディアに期待した求める満足と実際に得た得られた満足を比べて、継続利用を予測する研究もあります。
今の時代にも通用するのか?
ルッジェーロ(2000)は、双方向性や非同期性といったインターネットの特性によって、この理論はむしろ重要性を増したと論じました。実際、YouTubeやInstagram、動画配信サービスの利用動機研究で最もよく使われる枠組みの一つです。SNSをやめられない心理はFOMO、他人と比べてしまう習慣は社会的比較理論とあわせて考えると理解が深まります。一方で、自己報告に頼ること、メディアの構造や社会的影響を見落としがちなことが批判されています。
よくある質問
- 効果研究とは何が違うのですか?
- 効果研究はメディアが受け手に与える影響を見るのに対し、利用と満足研究は受け手が欲求に応じてメディアを選び使う過程に注目します。
- 卒論やレポートではどう使いますか?
- 特定のプラットフォームの利用動機をアンケートで測定し、その動機が満足度や継続利用意向にどう影響するかを分析する方法がよく使われます。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- Katz, E., Blumler, J. G., & Gurevitch, M. (1973). Uses and gratifications research. Public Opinion Quarterly, 37(4), 509–523.
- Katz, E., Gurevitch, M., & Haas, H. (1973). On the use of the mass media for important things. American Sociological Review, 38(2), 164–181.
- Ruggiero, T. E. (2000). Uses and gratifications theory in the 21st century. Mass Communication & Society, 3(1), 3–37.
