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黒い羊効果

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
黒い羊効果とは、望ましくない行動をした内集団成員を、同じ行動をした外集団成員よりも厳しく評価する現象です。1988年にジョゼ・マルケスらが初めて報告しました。同時に、望ましい内集団成員は外集団成員より高く評価されるため、内集団への判断が両極端に分かれるのが特徴です。集団の肯定的なイメージと規範を守ろうとする動機によって説明されます。
目次
  1. 1. 現象と発見
  2. 2. 説明:主観的集団力学
  3. 3. 発達と条件
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

現象と発見

社会的アイデンティティ理論によれば、人は内集団を外集団よりよく評価する傾向があります。ところがマルケスら(1988年)は、ベルギーの学生に同じ大学の学生と別の大学の学生の好ましい行動や好ましくない行動を評価させたところ、好ましくない行動をした内集団成員は、同じ行動をした外集団成員より悪く評価されることを見いだしました。一方、好ましい内集団成員は最も高く評価されました。この効果は集団への同一視が強い人ほど顕著でした。彼らはこれを群れの中で目立つ「黒い羊」になぞらえて黒い羊効果と呼びました。

説明:主観的集団力学

マルケスとパエス(1994年)は、逸脱した内集団成員が集団の肯定的なイメージを脅かすため、その人をおとしめ、事実上集団から押し出して集団のイメージを守るのだと説明しました。マルケスら(1998年)はこれを「主観的集団力学」へと発展させ、人々は集団間の比較だけでなく、集団内の規範の遵守まで管理していると考えました。エイブラムスら(2000年)は、規範に反する逸脱者は拒否される一方、規範をむしろ強く守る逸脱者は寛大に評価されることを示しました。アイデルマンとビアナット(2003年)は、これが「あの人と私は違う」と距離を置こうとする個人の自己防衛かもしれないと提案しました。

発達と条件

エイブラムスら(2003年)は、子どもが7歳ごろから規範を破る内集団の仲間をあまり好まない判断を示し始め、年齢とともに精緻になることを見いだしました。ピントら(2010年)は、この効果が古くからの正規メンバーの逸脱者には強いものの、まだ集団に完全に加わっていない新入りや去ろうとするメンバーには弱いことを示しました。この効果は、組織やスポーツファン、政党の中での裏切り者や不適応者への強い反感、そして社会的排除の現象を理解するのに使われています。ただし内集団びいきといつどのように共存するのかについては、条件をさらに明らかにする研究が続いています。

よくある質問

黒い羊効果を簡単に言うと?
同じ過ちでも、味方の人がすると相手側の人がしたときより厳しく批判してしまう現象です。
なぜ味方に厳しくなるのですか?
過ちを犯した内集団成員が集団全体の良いイメージを損なうおそれがあるので、その人をおとしめて集団のイメージを守ろうとする動機が働くと考えます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Marques, J. M., Yzerbyt, V. Y., & Leyens, J.-P. (1988). The "black sheep effect": Extremity of judgments towards ingroup members as a function of group identification. European Journal of Social Psychology, 18(1), 1–16. 黒い羊効果を初めて報告した原典で、現象の定義と実験を見るのに参考になります。
  2. Marques, J. M., & Paez, D. (1994). The 'black sheep effect': Social categorization, rejection of ingroup deviates, and perception of group variability. European Review of Social Psychology, 5(1), 37–68. 初期の研究をまとめ社会的アイデンティティの観点から説明した概観で、理論的背景を見るのに役立ちます。
  3. Marques, J. M., Abrams, D., Paez, D., & Martinez-Taboada, C. (1998). The role of categorization and in-group norms in judgments of groups and their members. Journal of Personality and Social Psychology, 75(4), 976–988. 規範を守ろうとする動機が逸脱者の評価を導くことを示した研究で、主観的集団力学を見るのに参考になります。
  4. Abrams, D., Marques, J. M., Bown, N., & Henson, M. (2000). Pro-norm and anti-norm deviance within and between groups. Journal of Personality and Social Psychology, 78(5), 906–912. 規範に反する逸脱と規範を過度に守る逸脱を比べた研究で、どの逸脱が罰せられるかを見るのに役立ちます。
  5. Eidelman, S., & Biernat, M. (2003). Derogating black sheep: Individual or group protection? Journal of Experimental Social Psychology, 39(6), 602–609. 黒い羊をおとしめることが個人のアイデンティティを守るためかもしれないことを扱った研究で、代替的説明を見るのに参考になります。
  6. Abrams, D., Rutland, A., & Cameron, L. (2003). The development of subjective group dynamics: Children's judgments of normative and deviant in-group and out-group individuals. Child Development, 74(6), 1840–1856. 子ども期にこの判断のしかたがどう発達するかを調べた研究で、発達的観点を見るのに役立ちます。
  7. Pinto, I. R., Marques, J. M., Levine, J. M., & Abrams, D. (2010). Membership status and subjective group dynamics: Who triggers the black sheep effect? Journal of Personality and Social Psychology, 99(1), 107–119. 正規メンバーか新入りかといった地位によって効果が変わることを示した研究で、調整条件を見るのに参考になります。

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。