非言語コミュニケーションとは
非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)とは、ことば以外の表情、しぐさ、視線、声のトーン、距離、ふれあい、服装などの手がかりによって、気持ちや態度、関係を伝えるコミュニケーションです。わたしたちは黙っているときでさえ、何かを伝えつづけています。家族療法のコミュニケーション理論で「人はコミュニケーションしないことはできない」といわれるのはこのためです。
- 経路
- 表情、しぐさ、視線、ふれあい、距離、パラ言語
- 働き
- くり返し、代わり、強調、調整、矛盾
- 特徴
- 無意識に出やすい、感情を伝えやすい、文化によってちがう
- 関連
- メラビアンの法則
おもな種類
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 表情 | ほほえみ、しかめ面 |
| しぐさ | うなずき、腕組み |
| 視線 | アイコンタクト、目をそらす |
| ふれあい | 握手、肩をたたく |
| 距離 | 話すときの間合い |
| パラ言語 | 声の大きさ、話す速さ、ため息 |
エクマンとフリーセンの5分類
心理学者のポール・エクマンとウォーレス・フリーセン(1969)は、非言語行動を5つに分けました。
- エンブレム(表象):ことばにそのまま置きかえられるしぐさ(OKサイン、手招き)
- イラストレーター(例示):話の内容を絵のように補う手の動き
- 感情表出:表情にあらわれる感情
- レギュレーター(調整):会話の順番を調整するうなずきや視線
- アダプター(適応):緊張したときに髪をさわる、貧乏ゆすりをする
ホールのプロクセミクス
文化人類学者のエドワード・ホール(1966)は、人は相手との関係によって距離のとり方を変えるというプロクセミクス(近接学)を示しました。
| 距離 | おおよその範囲 | 関係 |
|---|---|---|
| 密接距離 | 0〜45cm | 家族、恋人 |
| 個体距離 | 45cm〜1.2m | 友人 |
| 社会距離 | 1.2〜3.6m | 仕事 |
| 公衆距離 | 3.6m以上 | 講演 |
これはアメリカの中流階級の観察にもとづく数字で、文化によってちがいます。
「大丈夫」と言いながら目をそらし、ため息をついている人がいたら、どちらを信じますか。ことばと態度が食いちがうとき、人はたいてい非言語の手がかりのほうを信じます。日本では「察し」や「空気を読む」ことが重んじられ、非言語のメッセージにとくに敏感だといわれます。けれども家族のなかでこうした食いちがいがくり返されると、子どもは何に反応すればよいのか混乱してしまいます。これがダブルバインド理論の出発点でした。
生かし方
カウンセリングや福祉の面接では、相手のほうに少し体を向け、ほどよく視線を合わせ、うなずきやあいづちを入れることで「聴いています」という姿勢が伝わります。ただし、視線を合わせる程度やふれあい、しぐさの意味は文化や世代によって異なるため、ひとつの手がかりだけで相手の本心を決めつけないことが大切です。
よくある質問
- 「コミュニケーションの93%は非言語」というのは本当ですか?
- メラビアンの実験の条件にかぎった数字で、あらゆる会話にあてはまるわけではありません。
- パラ言語とは何ですか?
- 話の内容ではなく、声の大きさ、高さ、速さ、間といった要素のことです。
- しぐさでうそを見抜けますか?
- 手がかりにはなりますが、特定のしぐさひとつでうそを見抜くことはできません。
参考文献
- Ekman, P., & Friesen, W. V. (1969). The repertoire of nonverbal behavior: Categories, origins, usage, and coding. Semiotica, 1(1), 49–98.
- Hall, E. T. (1966). The hidden dimension. Doubleday.
