円環的質問とは
円環的質問(サーキュラー・クエスチョン)とは、問題をだれかひとりの性格や落ち度とみるのではなく、家族のメンバーがたがいにどう反応し、影響を与えあっているかが見えてくるようにたずねる質問技法です。イタリアのミラノ派のセルヴィーニ・パラッツォーリ、ボスコロ、チェキン、プラータが1980年の論文で、面接者が守るべき3つの指針として仮説化・円環性・中立性を示したことで体系化されました。
📌 ひと目でわかる
- 土台
- 家族システム論の円環的因果律
- 指針
- 仮説化・円環性・中立性
- 焦点
- 関係、差異、変化
- 効果
- 家族が自分たちで新しい見方に気づく
直線的質問とのちがい
| 項目 | 直線的質問 | 円環的質問 |
|---|---|---|
| 見方 | 原因→結果 | たがいに影響しあう輪 |
| 例 | 「なぜ落ち込んでいるの?」 | 「お母さんが元気がないとき、お父さんはどうしますか?」 |
| 効果 | 情報を集める | 関係について新しく気づく |
質問の種類と例
- 関係の質問:「娘さんが部屋にこもると、最初に気づくのはだれですか?」
- 差異の質問:「息子さんの成績を、お父さんとお母さんのどちらがより心配していますか?」
- 順位の質問:「この問題でいちばんつらいのはだれでしょう。次はだれですか?」
- 時間の質問:「おばあさまと同居する前とあとで、おふたりの会話はどう変わりましたか?」
- 仮定の質問:「もし明日この問題が消えたら、家族のなかでだれがいちばん驚くでしょう?」
「どうしてそんなことをしたの?」と聞くと、会話が止まってしまうことはありませんか。「どうして」はだれかひとりを原因として名指しし、言いわけや反発を呼びます。かわりに「そのとき、ほかの家族はどうしていた?」とたずねると、みんながひとつの輪のなかにいることが見えてきます。ほかの家族が自分についてどう答えるかを聞くだけでも、自分がどう見られているかに気づけるのです。
トムの4つの質問
カナダのカール・トム(1988)は、質問を直線的・円環的・戦略的・再帰的の4つに分けました。再帰的質問は家族が自分たちで新しい可能性を思いえがけるようにする質問で、解決志向ブリーフセラピーのミラクル・クエスチョンとも通じます。
注意したいこと
その場にいる人やいない人について話してもらうため、悪口大会にならないよう気をつけます。面接者はだれの味方にもならない中立性を保ち、ひとつひとつの質問を仮説を確かめる道具として使います。
よくある質問
- 円環的質問はだれが考えたのですか?
- イタリアのミラノ派(セルヴィーニ・パラッツォーリら)が1980年に体系化しました。
- 直線的質問はよくないのですか?
- いいえ。事実を確かめるには必要です。ただ問題をひとりのせいにしやすいので、円環的質問とまぜて使います。
- 家庭でも使えますか?
- 「なぜ」よりも「そのときおたがいどうしていたか」をたずねる習慣は、ふだんの家族の会話にも役立ちます。
参考文献
- Selvini Palazzoli, M., Boscolo, L., Cecchin, G., & Prata, G. (1980). Hypothesizing—circularity—neutrality: Three guidelines for the conductor of the session. Family Process, 19(1), 3–12.
- Tomm, K. (1988). Interventive interviewing: Part III. Intending to ask lineal, circular, strategic, or reflexive questions? Family Process, 27(1), 1–15.
