共同親権とは
共同親権とは、父母が離婚したあとも、ふたりで子どもの親権を行使する制度です。親権とは、子どもの身のまわりの世話や教育、住む場所、医療などを決め、財産を管理する権利であり義務でもあります。父母のどちらか一方だけが親権をもつ単独親権と対になる考え方です。日本では1947年以来、離婚すると必ずどちらか一方を親権者に決める単独親権制度が続いてきましたが、2024年5月に成立した改正民法により、2026年4月1日から離婚後の共同親権を選べるようになりました。
📌 ひと目でわかる
- 根拠
- 改正民法(令和6年法律第33号)
- 施行
- 2026年4月1日
- 例外
- DV・虐待のおそれ→単独親権
- 基準
- 子の利益
改正民法のポイント
- 親権者の定め方:協議離婚では、父母の話しあいで共同親権か単独親権かを決めます。話しあいがまとまらない場合や裁判離婚では、家庭裁判所が子の利益を基準に決めます。
- 必ず単独親権になる場合:虐待のおそれがある場合や、DVなどで父母が共同して親権を行うことがむずかしい場合は、必ず単独親権となります。
- 一方だけで決められること:日々の食事や習いごとなど日常の監護・教育や、緊急の手術など急迫の事情があるときは、一方の親だけで決められます。
- 法定養育費:養育費を決めずに離婚しても、一定額の養育費を請求できる制度が新設され、養育費の支払いを確保する先取特権も設けられました。
- 親子交流の見直し:調停や審判の途中での試行的な親子交流や、祖父母などとの交流についての規定が整備されました。
- 財産分与:請求できる期間が離婚後2年から5年に延びました。
国会でも世論でも、賛否は大きく分かれました。賛成派は、離婚後も子どもが父母の両方とかかわりつづけられると評価し、反対派は、DVの被害者が加害者との関係を断てなくなると懸念しました。そのため、DVや虐待のおそれがあるときは単独親権を必須とするしくみが盛りこまれました。法務省の「りこんポータル」では、離婚を考えている人向けに制度の説明が公開されています。
韓国の共同親権
韓国の民法909条4項は、協議離婚のとき父母が協議で親権者を定めるとしており、法律上は共同親権も可能です。しかし実際には、対立している父母がいっしょに決めるのはむずかしいとして、ほとんどが単独親権となっています。親権と養育権(監護権)を分けて定める方法も使われています。
各国との比較
| 国 | 制度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日本 | 共同・単独を選択(2026年〜) | DV・虐待のおそれがあれば単独を義務化、法定養育費を新設 |
| 韓国 | 協議により共同も可能 | 実務では単独親権がほとんど |
| アメリカ | 州法による法的・身上の共同監護 | 多くの州で共同の法的監護が広く認められている |
| 中国 | 民法典1084条 | 離婚後も父母ともに扶養・教育・保護の権利と義務をもち、直接扶養する親を定める |
よくある質問
- 共同親権になると、子どもは2つの家を行き来しなければならないのですか?
- いいえ。親権(大事なことをいっしょに決めること)と、実際にいっしょに暮らすこと(監護)は別です。共同親権でも、どちらか一方の家で主に暮らすことができます。
- 2026年4月より前に離婚した場合も、共同親権に変えられますか?
- はい。改正法の施行後、家庭裁判所に親権者変更を申し立て、共同親権に変更することができます。
- 協議で親権者が決まらないと離婚できないのですか?
- 親権者指定の調停・審判を申し立てていれば、親権者が決まっていなくても離婚届を提出できるようになりました。
参考文献
- 法務省. (2024). 「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号) の概要.
- 法務省. 「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(パンフレット).
- 대한민국 「민법」 제909조 제4항, 제837조, 제837조의2.
- 《中华人民共和国民法典》第1084条、第1085条、第1086条.
