熟年離婚とは
熟年離婚とは、一般に同居期間が20年以上の中高年夫婦の離婚をいいます。子どもが独立し、夫が定年を迎えるころに、長年がまんしてきた不満が表に出て離婚にいたるケースが多く見られます。韓国では「黄昏離婚(ファンホンイホン)」、アメリカでは「グレー・ディボース」と呼ばれます。
- 目安
- 同居期間20年以上
- 日本(2022年)
- 離婚全体の23.5%(過去最高)
- 日本(2024年)
- 4万686組
- 制度
- 年金分割、財産分与
統計で見る熟年離婚
厚生労働省の人口動態統計によると、同居期間20年以上の夫婦の離婚が離婚全体に占める割合は、2022年に23.5%となり、統計をとりはじめた1947年以降で最も高くなりました。離婚件数全体が減るなかで、熟年離婚は高い水準が続いており、2024年は4万686組でした。韓国では2024年、婚姻20年以上の夫婦の離婚が全体の36.2%を占め、日本以上に大きな割合になっています。
なぜ増えたのか
- 長寿化:定年後も20〜30年をともに過ごすことになり、「残りの人生は自分らしく」と考える人が増えました。
- 子どもの独立:「子どものために」続けてきた理由がなくなります。
- 定年後の摩擦:夫が一日中家にいるようになり、妻が体調をくずす「夫源病」という言葉も生まれました。
- 女性の経済的自立と意識の変化:離婚へのスティグマが弱まり、年金分割などの制度も整いました。
- 長年のコミュニケーションのすれちがい:一方が求め、もう一方が避ける要求―撤退パターンが何十年も固まっている例が少なくありません。
年金分割と財産分与
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 財産分与(民法768条) | 婚姻中に夫婦で築いた財産を分けます。専業主婦の家事・育児の貢献も評価され、原則2分の1とする実務が定着しています。離婚から2年以内(2026年4月施行の改正で5年に延長)に請求します。 |
| 年金分割(厚生年金保険法) | 2007年4月から合意分割、2008年4月から第3号被保険者期間の3号分割が始まり、婚姻期間中の厚生年金記録を分けられるようになりました。 |
2007年の年金分割スタートは、ニュースでも大きく取りあげられました。「制度が始まるのを待って離婚を切りだす妻が増えるのでは」と話題になりましたが、実際には件数が急増したわけではありません。それでも、離婚後の生活の見通しを立てやすくした点で、熟年離婚をめぐる環境を変えた制度だといえます。
予防と別の選択肢
定年の前後に、生活のしかたや家事の分担を話しあっておくこと、夫婦それぞれが趣味や友人関係を保つことが役立ちます。法律上の婚姻は続けながら、おたがいに干渉せず別々に暮らす「卒婚」という選択肢も知られるようになりました。対立が深い場合は、夫婦カウンセリングや家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満)を利用する方法もあります。
よくある質問
- 熟年離婚は何年以上の結婚をいうのですか?
- 法律上の定義はありませんが、統計や報道では同居期間20年以上を目安にすることが一般的です。
- 専業主婦も夫の年金を分けてもらえますか?
- はい。婚姻期間中の厚生年金記録を年金分割で分けることができます。請求には期限があり、法改正で延長されているため、年金事務所で最新の期限を確認しましょう。
- 卒婚と離婚は何がちがいますか?
- 卒婚は法律上の夫婦のまま別々に暮らす生き方なので、財産分与や年金分割は生じません。
参考文献
- 통계청(국가데이터처). (2025). 「2024년 혼인·이혼 통계」. 2025년 3월 20일 보도자료.
- 厚生労働省. (2025). 「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」.
- Brown, S. L., & Lin, I.-F. (2012). The gray divorce revolution: Rising divorce among middle-aged and older adults, 1990–2010. The Journals of Gerontology: Series B, 67(6), 731–741.
- 대한민국 「국민연금법」 제64조; 日本「厚生年金保険法」第78条の2(離婚時の年金分割).
