ペーパーカンパニーとは
ペーパーカンパニーとは、登記などの書類上は存在しているものの、実際の事務所や従業員、事業活動がほとんどない会社のことです。英語では一般にshell company(抜けがらの会社)といい、「幽霊会社」「ダミー会社」と呼ばれることもあります。アメリカの証券取引委員会(SEC)は、事業がまったくないか名目的で、資産がおもに現金などからなる会社をshell companyと定義しています。
- 意味
- 書類上だけ存在する会社
- 英語
- Shell company
- 合法な使い方
- SPC、持株会社、資産保有会社
- 悪用
- 脱税、マネロン、横領、制裁逃れ
合法と違法の境界
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 合法的な使い方 | 資産の証券化のための特別目的会社(SPC)、プロジェクト・ファイナンス、M&Aの途中で使う中間法人、海外投資のための持株会社 |
| 違法な悪用 | タックスヘイブンの会社に所得をかくす、裏金づくり、会社の資金の流出、犯罪収益のマネロン、国際制裁逃れ |
ペーパーカンパニーだから違法、というわけではありません。問題になるのは、本当の持ち主をかくし、お金や資産の流れを見えなくするために使われるときです。そのため各国は実質的支配者を確認する制度を強めてきました。
ペーパーカンパニーのいちばんの武器は「匿名性」です。会社が会社をもち、その会社がまた別の国の会社をもつ……という構造を何層か重ねるだけで、本当の持ち主はたどりにくくなります。2016年のパナマ文書は、ひとつの法律事務所から流出した1150万件の文書で、こうした仕組みが世界の政治家や富裕層にどれほど広く使われていたかを明らかにしました。
日本の対応:タックスヘイブン対策税制
日本は租税特別措置法の外国子会社合算税制(いわゆるタックスヘイブン対策税制)で、税負担の軽い国にある子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して課税しています。2017年度の改正では、実体のないペーパーカンパニーの所得は原則として合算課税の対象とするしくみが整えられました。会社法の分野では、会社を隠れみのにして責任を逃れようとする場合に法人格否認の法理が使われることもあります。
韓国・アメリカ
韓国は国税基本法14条の実質課税の原則で、名義と実質がちがえば実質にしたがって課税し、オフショアの実体のない会社の背後にいる人に課税した判例もあります。アメリカはSECの規則でshell companyによる証券発行を制限し、マネロン対策で実質的支配者の確認を求めています。
よくある質問
- ペーパーカンパニーは違法ですか?
- それ自体は合法です。脱税やマネロン、横領などに使われると違法になります。
- SPCもペーパーカンパニーですか?
- 従業員や事業がない点では似ていますが、法律で決められた目的と開示のもとで運営される合法的な仕組みです。
- なぜタックスヘイブンに多いのですか?
- 税率が低いかゼロで、株主情報の開示が少ないからです。
参考文献
- 17 C.F.R. § 230.405 (definition of "shell company"), U.S. Securities and Exchange Commission.
- 국세기본법 제14조(실질과세). 국가법령정보센터 https://www.law.go.kr/
- 租税特別措置法 第66条の6(内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例). e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/
- International Consortium of Investigative Journalists. (2016). The Panama Papers. https://www.icij.org/investigations/panama-papers/
