発見と古典的な説明
ホヴランド、ラムズデイン、シェフィールド(1949年)は、米兵に宣伝映画『我々はなぜ戦うのか』を見せたあと、一部の意見の変化が5日後よりも9週間後のほうが大きく現れることを発見しました。ホヴランドとワイス(1951年)は、同じ記事を信憑性の高い情報源と低い情報源の名前で示しましたが、最初は信憑性の高い情報源のほうがずっと説得力があったのに、4週間後には両者の差がほとんど消えていました。彼らはこれを、人は時間がたつと「誰が言ったか」よりも「何が言われたか」をよく覚えているという割引手がかり仮説で説明しました。ケルマンとホヴランド(1953年)は、後で情報源をあらためて思い出させるとスリーパー効果が消えることを示し、この説明を裏づけました。
論争と分離仮説
その後スリーパー効果は再現が難しく、論争の的になりました。ギリグとグリーンワルド(1974年)は7回の実験で効果を見いだせず、「そろそろスリーパー効果を葬るべき時ではないか」と問いかけました。しかし、グルーダーら(1978年)やクックとフレイ(1978年)は、メッセージが十分に強く、割引手がかりがメッセージの後に与えられ、人々が内容を注意深く処理するときに効果が安定して現れるという条件を明らかにしました。プラトカニスら(1988年)は、割引手がかりがメッセージの後に示されると内容と手がかりが記憶のなかで別々に保存され、手がかりの影響のほうが速く弱まるという差異的減衰仮説を提案しました。これは精緻化見込みモデル(ペティとカシオッポ、1986年)のいう中心ルートの処理ともつながっています。
メタ分析と誤情報研究
クムカレとアルバラシン(2004年)は72の実験をメタ分析し、スリーパー効果は条件がそろえば信頼できる形で現れ、とくにメッセージの論拠が強く、受け手の関与と能力が高く、割引手がかりがメッセージの後に来るときに大きくなることを確認しました。この現象は今日の誤情報研究で重要になっています。ジョンソンとサイファート(1994年)は、訂正された誤った情報がその後の推論に影響し続ける持続的影響効果を示し、レワンドウスキーら(2012年)は、単純な訂正や「情報源は信用できない」という警告だけでは誤情報の影響を十分には防げないとまとめています。アンダーウッドとペズデク(1998年)は、目撃証言の記憶でも、信憑性の低い情報源からの誤情報が時間とともに影響を強めるという、スリーパー効果に似たパターンが現れると報告しました。
よくある質問
- スリーパー効果を簡単に言うと?
- 信用できないところから聞いた話なので最初は無視していたのに、時間がたって出どころを忘れ、内容だけを覚えているうちに、だんだんその話を信じるようになる現象です。
- スリーパー効果はいつも起こるのですか?
- いいえ。メッセージ自体に説得力があり、情報源の信用を下げる情報がメッセージの後に与えられ、人々が内容をしっかり処理したときに主に現れます。情報源をあらためて思い出させると効果は弱まります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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