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スリーパー効果

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
スリーパー効果とは、信頼しにくい情報源から出たメッセージや「この主張は誤りだ」という警告のついたメッセージが、最初は態度をほとんど変えられないのに、時間がたつにつれてかえって説得効果が大きくなる現象です。メッセージの内容は記憶に残る一方、情報源や警告といった割引手がかりとの結びつきが弱まるためだと説明されます。カール・ホヴランドの研究チームが、第二次世界大戦中に米軍の宣伝映画の効果を研究するなかで初めて報告しました。
目次
  1. 1. 発見と古典的な説明
  2. 2. 論争と分離仮説
  3. 3. メタ分析と誤情報研究
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

発見と古典的な説明

ホヴランド、ラムズデイン、シェフィールド(1949年)は、米兵に宣伝映画『我々はなぜ戦うのか』を見せたあと、一部の意見の変化が5日後よりも9週間後のほうが大きく現れることを発見しました。ホヴランドとワイス(1951年)は、同じ記事を信憑性の高い情報源と低い情報源の名前で示しましたが、最初は信憑性の高い情報源のほうがずっと説得力があったのに、4週間後には両者の差がほとんど消えていました。彼らはこれを、人は時間がたつと「誰が言ったか」よりも「何が言われたか」をよく覚えているという割引手がかり仮説で説明しました。ケルマンとホヴランド(1953年)は、後で情報源をあらためて思い出させるとスリーパー効果が消えることを示し、この説明を裏づけました。

論争と分離仮説

その後スリーパー効果は再現が難しく、論争の的になりました。ギリグとグリーンワルド(1974年)は7回の実験で効果を見いだせず、「そろそろスリーパー効果を葬るべき時ではないか」と問いかけました。しかし、グルーダーら(1978年)やクックとフレイ(1978年)は、メッセージが十分に強く、割引手がかりがメッセージの後に与えられ、人々が内容を注意深く処理するときに効果が安定して現れるという条件を明らかにしました。プラトカニスら(1988年)は、割引手がかりがメッセージの後に示されると内容と手がかりが記憶のなかで別々に保存され、手がかりの影響のほうが速く弱まるという差異的減衰仮説を提案しました。これは精緻化見込みモデル(ペティとカシオッポ、1986年)のいう中心ルートの処理ともつながっています。

メタ分析と誤情報研究

クムカレとアルバラシン(2004年)は72の実験をメタ分析し、スリーパー効果は条件がそろえば信頼できる形で現れ、とくにメッセージの論拠が強く、受け手の関与と能力が高く、割引手がかりがメッセージの後に来るときに大きくなることを確認しました。この現象は今日の誤情報研究で重要になっています。ジョンソンとサイファート(1994年)は、訂正された誤った情報がその後の推論に影響し続ける持続的影響効果を示し、レワンドウスキーら(2012年)は、単純な訂正や「情報源は信用できない」という警告だけでは誤情報の影響を十分には防げないとまとめています。アンダーウッドとペズデク(1998年)は、目撃証言の記憶でも、信憑性の低い情報源からの誤情報が時間とともに影響を強めるという、スリーパー効果に似たパターンが現れると報告しました。

よくある質問

スリーパー効果を簡単に言うと?
信用できないところから聞いた話なので最初は無視していたのに、時間がたって出どころを忘れ、内容だけを覚えているうちに、だんだんその話を信じるようになる現象です。
スリーパー効果はいつも起こるのですか?
いいえ。メッセージ自体に説得力があり、情報源の信用を下げる情報がメッセージの後に与えられ、人々が内容をしっかり処理したときに主に現れます。情報源をあらためて思い出させると効果は弱まります。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Hovland, C. I., Lumsdaine, A. A., & Sheffield, F. D. (1949). Experiments on Mass Communication. Princeton: Princeton University Press.
  2. Hovland, C. I., & Weiss, W. (1951). The influence of source credibility on communication effectiveness. Public Opinion Quarterly, 15(4), 635–650.
  3. Kelman, H. C., & Hovland, C. I. (1953). 'Reinstatement' of the communicator in delayed measurement of opinion change. Journal of Abnormal and Social Psychology, 48(3), 327–335.
  4. Gillig, P. M., & Greenwald, A. G. (1974). Is it time to lay the sleeper effect to rest? Journal of Personality and Social Psychology, 29(1), 132–139.
  5. Gruder, C. L., Cook, T. D., Hennigan, K. M., Flay, B. R., Alessis, C., & Halamaj, J. (1978). Empirical tests of the absolute sleeper effect predicted from the discounting cue hypothesis. Journal of Personality and Social Psychology, 36(10), 1061–1074.
  6. Cook, T. D., & Flay, B. R. (1978). The persistence of experimentally induced attitude change. Advances in Experimental Social Psychology, 11, 1–57.
  7. Petty, R. E., & Cacioppo, J. T. (1986). Communication and Persuasion: Central and Peripheral Routes to Attitude Change. New York: Springer.
  8. Pratkanis, A. R., Greenwald, A. G., Leippe, M. R., & Baumgardner, M. H. (1988). In search of reliable persuasion effects: III. The sleeper effect is dead: Long live the sleeper effect. Journal of Personality and Social Psychology, 54(2), 203–218.
  9. Johnson, H. M., & Seifert, C. M. (1994). Sources of the continued influence effect: When misinformation in memory affects later inferences. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 20(6), 1420–1436.
  10. Underwood, J., & Pezdek, K. (1998). Memory suggestibility as an example of the sleeper effect. Psychonomic Bulletin & Review, 5(3), 449–453.
  11. Kumkale, G. T., & Albarracín, D. (2004). The sleeper effect in persuasion: A meta-analytic review. Psychological Bulletin, 130(1), 143–172.
  12. Lewandowsky, S., Ecker, U. K. H., Seifert, C. M., Schwarz, N., & Cook, J. (2012). Misinformation and its correction: Continued influence and successful debiasing. Psychological Science in the Public Interest, 13(3), 106–131.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。