不法行為とは
不法行為とは、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害し、損害を与えることです。民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。交通事故、暴行、名誉毀損、医療過誤、公害など、契約関係のない人どうしで生じた損害を埋めあわせる民事責任の基本ルールです。
📌 ひと目でわかる
- 根拠
- 民法709条
- 原則
- 過失責任主義
- 効果
- 損害賠償(財産的・精神的損害)
- 比較
- 債務不履行
成立要件
- 故意または過失:わざと、または注意すれば避けられたのに避けなかったこと。
- 権利・法律上保護される利益の侵害:正当防衛などにあたる場合は責任を負いません(720条)。
- 損害の発生:財産的な損害だけでなく、精神的苦痛も含みます(慰謝料、710条)。
- 因果関係:行為と損害のあいだに相当因果関係が必要です。
- 責任能力:自分の行為の責任を理解できる能力が必要です。責任能力のない未成年者などの場合は、監督義務者が責任を負います(712条、714条)。
過失責任主義と無過失責任
過失責任主義は「過失なければ責任なし」という近代民法の大原則で、個人の活動の自由を守るためのものです。しかし工業化で危険な施設や大企業が増えると、被害者が過失を証明しにくい分野では、無過失責任や立証責任の転換が取りいれられました。自動車損害賠償保障法の運行供用者責任、製造物責任法(PL法)、大気汚染防止法・水質汚濁防止法の無過失責任などがその例です。
契約がなくても、賠償責任は生まれます。債務不履行は約束を破った責任、不法行為はだれに対しても守るべき注意を怠った責任です。医療事故のように両方が成り立つ場合、被害者はどちらで請求するかを選べます。
消滅時効
被害者が損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で請求権は消滅します(724条)。2020年施行の改正民法で、人の生命・身体を害する不法行為については「知った時から5年」に延長されました(724条の2)。
各国との比較
| 国 | 根拠 | 特徴 |
|---|---|---|
| 韓国 | 民法750条 | 過失責任が原則、知った日から3年/行為の日から10年 |
| アメリカ | 判例法(コモン・ロー) | 故意による不法行為、過失(negligence)、厳格責任に分類。懲罰的損害賠償がある |
| 中国 | 民法典1165条 | 過失責任が原則、法律が定める場合は無過失責任(1166条) |
よくある質問
- 不法行為と犯罪は同じですか?
- ちがいます。犯罪は国が刑罰を科す刑事責任、不法行為は被害者に損害を賠償する民事責任です。1つの行為が両方にあたることもあります。
- 従業員が事故を起こしたら会社も責任を負いますか?
- 事業の執行について生じた損害なら、使用者責任(715条)で会社も賠償責任を負うことがあります。
- 慰謝料の額はどう決まりますか?
- 裁判所が、被害の程度や加害者の態度などさまざまな事情を考慮して決めます。
参考文献
- 대한민국 「민법」 제750조, 제751조, 제763조, 제766조.
- 日本「民法」第709条、第710条、第722条、第724条、第724条の2.
- 《中华人民共和国民法典》第1165条、第1166条、第1179条、第188条.
- American Law Institute. (1965). Restatement (Second) of Torts. St. Paul, MN: ALI.
