発見と予防の歴史
1928年、ギリシャ出身の米国の医師パパニコロウは、子宮頸部から剥がれた細胞を顕微鏡で見ればがんを早期に見つけられると発表しました。このパップテストが普及した欧米では子宮頸がんの死亡が大きく減りました。1983〜84年、ドイツのツア・ハウゼンががん組織からHPV16型・18型を見つけて原因ウイルスを特定し、2008年にノーベル賞を受けました。2006年に初のHPVワクチンが承認され、2020年のスウェーデンの研究では17歳未満で接種した女性の子宮頸がんリスクが88%低いと示されました。日本は2013年から積極的勧奨を控えていましたが、2022年に再開し、機会を逃した世代へのキャッチアップ接種も行われました。
原因と症状
HPVは性的接触でごくありふれて感染し、多くは1〜2年で自然に消えます。しかし16型・18型などの高リスク型が持続すると、前がん病変(異形成)を経て10年以上かけてがんになることがあります。喫煙や免疫の低下も危険因子です。初期はほとんど症状がなく、進むと性交後の出血、月経以外の不正出血、閉経後の出血、においの強いおりもの、下腹部痛が現れます。閉経後の出血は必ず受診しましょう。日本では20〜30代の罹患が増えているのが特徴です。
検診とワクチン
国の指針では20歳以上の女性に2年に1回の子宮頸部細胞診が推奨され、2024年度からは30歳以上で5年に1回のHPV検査単独法も導入可能になりました。前がん病変で見つかれば円錐切除術など比較的負担の少ない治療で済みます。HPVワクチンは感染前に打つほど効果が高く、小学6年〜高校1年相当の女子は定期接種で無料です。9価ワクチン(シルガード9)も定期接種に含まれています。接種してもすべての型は防げないため、検診は続けましょう。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- 性交経験があるとワクチンは無意味?
- すでに感染した型には効きませんが、ほかの型は防げるため意義があります。
- HPV陽性はがんということ?
- いいえ。多くは自然に消えるので、定期的な検査で持続しているかを確認します。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- zur Hausen, H. (2002). Papillomaviruses and cancer: From basic studies to clinical application. Nature Reviews Cancer, 2(5), 342–350.
- World Health Organization. (2020). Global strategy to accelerate the elimination of cervical cancer as a public health problem.
- Lei, J., et al. (2020). HPV vaccination and the risk of invasive cervical cancer. NEJM, 383(14), 1340–1348.
