研究と検診の歴史
1970年代、英国セント・マークス病院のモーソンらは、大腸がんの多くが腺腫性ポリープから生じるという「腺腫-がん連関」を確立しました。1990年には米ジョンズ・ホプキンス大学のフォーゲルシュタインが、APC・KRAS・p53の遺伝子変異が順に積み重なってがんになる多段階発がんモデルを示し、がん遺伝学の教科書的な例となりました。1993年の米国National Polyp Studyで内視鏡によるポリープ切除ががんの発生を76〜90%減らすと報告され、検診が世界に広まりました。日本では1992年から免疫法便潜血検査による検診が始まっています。
症状と危険因子
早期はほとんど症状がなく、進むと血便や黒い便、便通の変化(新たな便秘や下痢)、便が細くなる、残便感、原因不明の貧血や体重減少が出ます。痔と思い込みやすいので注意が必要です。危険因子は赤身肉や加工肉、肥満、飲酒、喫煙、運動不足、家族歴、炎症性腸疾患です。日米ともに50歳未満の若年発症が増えており、米国は2021年に検診開始年齢を45歳へ引き下げました。
検診・治療と予防
日本の対策型検診は40歳以上に年1回の便潜血検査(2日法)で、陽性なら大腸内視鏡による精密検査を受けます。陽性でも精検を受けない人が多いのが課題です。内視鏡ではポリープをその場で切除してがんを予防できます。早期がんは内視鏡や腹腔鏡手術で根治率が高く、進行がんには手術に化学療法や分子標的薬、直腸がんでは放射線治療を組み合わせます。食物繊維の多い食事、加工肉を控える、運動、禁煙・節酒が予防に役立ちます。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- 大腸カメラの前処置がつらいのですが…
- CTコロノグラフィーなどもありますが、異常があれば結局内視鏡が必要になります。
- 血便が出たらがんですか?
- 多くは痔などですが、40歳以上や繰り返す場合は必ず検査を受けましょう。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- U.S. Preventive Services Task Force. (2021). Screening for colorectal cancer: Recommendation statement. JAMA, 325(19), 1965–1977.
- Fearon, E. R., & Vogelstein, B. (1990). A genetic model for colorectal tumorigenesis. Cell, 61(5), 759–767.
- Siegel, R. L., et al. (2025). Cancer statistics, 2025. CA: A Cancer Journal for Clinicians, 75(1).
