歴史と日本の貢献
胃がんは紀元前1600年頃のエジプトのパピルスにも記録された古い病気です。1881年、オーストリアのビルロートが初めて胃がん切除に成功しました。1950年、オリンパスと東大病院の宇治達郎らが世界初の実用的な胃カメラを開発し、白壁彦夫らのX線二重造影法とあわせて日本は早期胃がん診断の先進国になりました。1983年にはオーストラリアのウォーレンとマーシャルがピロリ菌を発見し、1994年WHOが発がん因子に指定。日本では2013年にピロリ菌感染胃炎の除菌が保険適用になっています。
原因と症状
主な危険因子はピロリ菌感染、塩分の多い食事や塩蔵品、喫煙、多量飲酒、家族歴です。感染による慢性胃炎が萎縮性胃炎、腸上皮化生へと進み、そこから発がんする流れがよく知られています。早期にはほとんど症状がないか、胃もたれや胸やけとの区別が難しいのが特徴です。進行すると体重減少、食欲低下、貧血、黒い便、つかえ感が出ます。
検診・治療と予防
国の指針では50歳以上に2年に1回の胃内視鏡検診(X線は40歳以上年1回も可)が推奨されています。粘膜にとどまる早期がんは、開腹せずに内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で切除でき、これは日本で開発された技術です。進行がんでは胃切除とリンパ節郭清に、化学療法や免疫療法を組み合わせます。ピロリ菌の除菌は胃がんを減らす根拠があり、若いうちの検査・除菌が勧められています。減塩、禁煙、野菜や果物をとることが予防の基本です。大腸がん検診もあわせて受けましょう。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- 鎮静剤を使った胃カメラでも精度は同じ?
- はい。ただし当日の運転は控えましょう。
- ピロリ菌を除菌すれば安心?
- リスクは下がりますがゼロにはならないため、定期的な検診は続けます。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Warren, J. R., & Marshall, B. (1983). Unidentified curved bacilli on gastric epithelium in active chronic gastritis. The Lancet, 321(8336), 1273–1275.
- Jun, J. K., et al. (2017). Effectiveness of the Korean National Cancer Screening Program in reducing gastric cancer mortality. Gastroenterology, 152(6), 1319–1328.
- 국립암센터. (2025). 국가암등록통계 2023.
