ピロリ菌とは?
ピロリ菌はウレアーゼという酵素で尿素を分解してアンモニアをつくり、周りの胃酸を中和して胃粘膜の粘液層にすみつきます。1983年にロビン・ウォーレンとバリー・マーシャルが初めて培養して報告し、2人は胃炎と潰瘍の原因を明らかにした功績で2005年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
感染と病気
主に幼少期に家族内で感染すると考えられており、感染者の多くは症状がありません。しかし感染が長く続くと慢性胃炎になり、一部は萎縮性胃炎や腸上皮化生を経て胃がんへ進むことがあります(コレアのカスケード)。WHOの国際がん研究機関は1994年にこの菌をグループ1の発がん因子に分類しました。十二指腸潰瘍や胃潰瘍、胃MALTリンパ腫の原因にもなります。
ピロリ菌はどう検査・治療するのか?
- 検査:尿素呼気試験、内視鏡での組織検査・迅速ウレアーゼ試験、便中抗原検査、血清抗体検査があります。
- 除菌治療:胃酸を抑える薬と2〜3種類の抗菌薬を1〜2週間飲みます。日本では主に7日間の3剤併用療法が行われ、クラリスロマイシン耐性が多い地域では別の組み合わせを使います。
- 判定検査:治療終了から4週間以上たってから、菌が消えたかを確認します。
胃がん予防の根拠
韓国国立がんセンターの二重盲検ランダム化比較試験では、胃がんの家族歴がある感染者の除菌により、9.2年間の胃がん発生が2.7%から1.2%に減りました(HR 0.45)。早期胃がんの切除後の患者では、新たな胃がんが13.4%から7.2%に減りました(HR 0.50)。健康な感染者を対象としたメタアナリシスでもリスクは34%低くなっていました。ただし、もともとのリスクが高い集団ほど絶対的な利益は大きくなります。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- ピロリ菌は除菌したほうがよいですか?
- 日本ではピロリ菌感染胃炎と診断されれば保険で除菌治療が受けられ、胃がん予防の観点からも一般に除菌が勧められています。具体的には医師に相談しましょう。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- Warren, J. R., & Marshall, B. (1983). Unidentified curved bacilli on gastric epithelium in active chronic gastritis. Lancet, 1(8336), 1273–1275.
- Choi, I. J., et al. (2020). Family history of gastric cancer and Helicobacter pylori treatment. New England Journal of Medicine, 382(5), 427–436.
- Malfertheiner, P., et al. (2022). Management of Helicobacter pylori infection: the Maastricht VI/Florence consensus report. Gut, 71, 1724–1762.
