相対リスクと絶対リスクはどう違うのか?
対照群では100人中4人、治療群では100人中2人が病気になったとします。相対リスクは2% ÷ 4% = 0.5で、「リスクが50%減った」と言えます。絶対リスクの差は4% − 2% = 2ポイントです。どちらも正しいのですが、「半分になった」と「100人中2人減った」では受ける印象がかなり違います。
治療必要数(NNT)
治療必要数は、1人が利益を得るために何人を治療する必要があるかを示します。絶対リスク減少の逆数なので、上の例では1 ÷ 0.02 = 50人です。副作用を1件余分に起こすのに必要な人数は害必要数(NNH)といいます。たとえば2019年のコクランレビューでは、帯状疱疹の組換えワクチンは相対リスク0.08と大きく減らしましたが、3年間の絶対リスク差は3%、NNTは33人でした。
ハザード比とオッズ比
- ハザード比(HR):追跡期間中のどの時点でもイベントが起こる速さを比べます。生存分析や長期試験でよく使われます。
- オッズ比(OR):イベントが起こる確率と起こらない確率の比を比べます。主に症例対照研究で使われ、イベントがまれなら相対リスクに近づきます。
ベースラインリスクが重要な理由
同じ相対リスクでも、もともとのリスクが高い集団ほど絶対的な利益は大きくなります。2014年のBMJのメタアナリシスでは、ピロリ菌除菌による胃がん予防のNNTは胃がんリスクの高い中国人男性で15人、リスクの低い米国人女性で245人と推定されました。健康情報を読むときは、相対リスクと一緒に絶対リスクの差、そして「誰を対象にした結果か」を必ず確認しましょう。こうした数値は主にランダム化比較試験やメタアナリシスで報告されます。
よくある質問
- なぜニュースでは相対リスクがよく使われるのですか?
- 相対的な数字のほうがインパクトが大きく集団によらず一定ですが、絶対リスクがわからなければ自分にとって治療がどれだけ役立つかは判断できません。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- Laupacis, A., Sackett, D. L., & Roberts, R. S. (1988). An assessment of clinically useful measures of the consequences of treatment. New England Journal of Medicine, 318(26), 1728–1733.
- Gigerenzer, G., et al. (2007). Helping doctors and patients make sense of health statistics. Psychological Science in the Public Interest, 8(2), 53–96.
- Ford, A. C., et al. (2014). Helicobacter pylori eradication therapy to prevent gastric cancer in healthy asymptomatic infected individuals. BMJ, 348, g3174.
