リンダ問題と代表性
トヴェルスキーとカーネマン(1983年)は、参加者に「リンダは31歳の独身で、率直でとても聡明である。哲学を専攻し、学生時代には差別や社会正義の問題に深い関心をもち、反核デモにも参加した」という説明を示したうえで、「リンダは銀行の窓口係である」と「リンダは銀行の窓口係で、フェミニスト運動に積極的に参加している」のどちらの可能性が高いかを尋ねました。学部生の約85%が後者を選びましたが、これは連言がその構成要素よりも確率が高くなることはありえないという規則に反しています。彼らはこれを、人が確率ではなく、記述が典型的な姿にどれだけ似ているかで判断する代表性ヒューリスティックによって説明しました(トヴェルスキーとカーネマン、1982年)。医師が診断を下すときや、専門家が政治的なシナリオを予測するときにも同じ誤りが観察されており、細部を書き加えたシナリオほどもっともらしく感じられるという点で、予測や計画に重要な示唆をもっています。
解釈をめぐる論争
ギーゲレンツァー(1996年)やヘルトヴィッヒとギーゲレンツァー(1999年)は、参加者が「可能性」という言葉を数学的な確率ではなく、「もっともらしさ」や「説明に合っていること」として解釈した可能性があり、「100人中何人」のような頻度形式で尋ねると誤りが大きく減ると主張しました。フィードラー(1988年)も、問題の言語的な枠組みによって誤答率が大きく変わることを示しています。カーネマンとトヴェルスキー(1996年)は、頻度形式でも誤りは残るとして、認知的錯覚は実在すると反論しました。この論争は、メラーズ、ヘルトヴィッヒ、カーネマン(2001年)による「敵対的協働」へとつながり、頻度形式は誤りを減らすものの完全にはなくせないという結果が得られました。サイズら(2002年)は、賭けの形式で尋ねて言語解釈の問題を避けても誤りが続くことを示し、チャーネス、カルニ、レヴィン(2010年)は、金銭的インセンティブと集団での話し合いが誤りをかなり減らすと報告しています。
代替的な説明
テントーリ、クルーピ、ルッソ(2013年)は、人は確率ではなく、証拠が仮説をどれだけ支持するか、つまり帰納的な確証の度合いを評価していると主張しました。リンダについての説明は「フェミニスト」という仮説を強く支持するので、それを加えた連言のほうがよく「確証されている」ように感じられるというのです。これは、ベイズの定理における事後確率と尤度比の区別の問題と関わっています。バスマイヤーら(2011年)は、判断の順序によって確率が変わる量子確率モデルを用いて、連言錯誤と順序効果をあわせて説明しようとしました。カーネマン(2011年)は、リンダ問題を直感的なシステム1が論理的なシステム2を押し切ってしまう代表例として紹介しています。連言錯誤は、基準率の誤りやギャンブラーの誤謬とともに、人間の確率の直感が形式論理とずれてしまう代表的な例とされています。
よくある質問
- 連言錯誤を簡単に言うと?
- 「AかつB」のほうが「A」だけよりもありそうだと感じてしまう錯覚です。条件が一つ増えれば確率は同じか低くなるはずですが、話が具体的になるほどかえってもっともらしく聞こえるために起こります。
- リンダ問題は単に質問を誤解しただけではないのですか?
- そう主張する研究者もいます。実際、頻度の形式で尋ねたり金銭的な報酬をかけたりすると誤りは減ります。しかし、賭けの形式のように誤解の余地を減らした実験でも誤りはかなり残るため、純粋に言葉の問題だけではないというのが大方の評価です。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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