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ギャンブラーの誤謬

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ギャンブラーの誤謬とは、コイン投げやルーレットのように各試行が互いに独立なランダムな過程で、ある結果が何度も続けて出ると、次は逆の結果が出る確率が高まると誤って信じてしまう認知バイアスです。ラプラスが1814年にすでに記録しており、トヴェルスキーとカーネマンは1971年、小さな標本でも母集団の比率をそのまま反映するはずだと信じる「少数の法則」によってこれを説明しました。
目次
  1. 1. 概念と心理的な起源
  2. 2. ランダムネスの知覚と理論モデル
  3. 3. 実証的な証拠:宝くじから法廷まで
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念と心理的な起源

公正なコインを5回投げてすべて表が出たとしても、6回目に裏が出る確率はやはり2分の1です。それでも多くの人は、そろそろ裏が出るころだと感じます。ラプラス(1814年)は、息子が続けて生まれた家の父親が、次の子は娘である可能性が高いと信じている例を記録しました。1913年にモンテカルロのカジノのルーレットで黒が26回連続して出た際、人々が赤に大金を賭けて失ったという逸話から、「モンテカルロの誤謬」とも呼ばれます。トヴェルスキーとカーネマン(1971年)は、人々が大数の法則は小さな標本にも当てはまると信じる「少数の法則」を指摘し、カーネマンとトヴェルスキー(1972年)は、短い系列でもランダムな過程の典型に似ているはずだと判断する代表性ヒューリスティックによってこれを説明しました。

ランダムネスの知覚と理論モデル

バー=ヒレルとワーへナール(1991年)は、人にランダムな系列を作らせると、実際のランダムよりも結果を頻繁に切り替えすぎ、同じ結果が続く区間を少なくしすぎるという研究を整理しました。オスカーソンら(2009年)は、二値の事象の次の結果を予測する研究を総合し、人がその過程をランダムな装置とみなすか、意図をもった行為者とみなすかによって、ギャンブラーの誤謬とその逆であるホットハンドの誤謬とが分かれると論じました。エイトンとフィッシャー(2004年)も、2つの誤謬を主観的なランダムネスの2つの顔として分析しています。ラビン(2002年)は、人々が小さな壺から玉を非復元抽出していると信じているかのように振る舞うというモデルを構築し、ラビンとヴァヤノス(2010年)はこのモデルを使って、ギャンブラーの誤謬がどのようにホットハンドの信念へとつながるのか、また金融市場の過剰反応をどう説明できるのかを示しました。

実証的な証拠:宝くじから法廷まで

クロットフェルターとクック(1993年)は、アメリカ・メリーランド州の宝くじで、ある番号が当選した直後の数日間、その番号に賭けられる金額が目立って減ることを発見しました。テレル(1994年)はニュージャージー州の宝くじのデータで同様のパターンを確認しています。クロソンとサンダリ(2005年)は、実際のカジノのルーレットの賭けの記録から、同じ色が連続したあとに反対の色に賭ける行動が増えることを示しました。チェン、モスコウィッツ、シュー(2016年)は、このバイアスが専門家にも見られることを示しました。アメリカの難民認定の審査官、インドの融資審査担当者、メジャーリーグの審判は、直前に似た判定を続けて下しているほど、次の案件で逆の判定を下す可能性が高かったのです。それぞれの案件は独立に評価されるべきである以上、これは実際の意思決定の質に影響するバイアスだといえます。

よくある質問

ギャンブラーの誤謬を簡単に言うと?
コインで表が何度も続いたから、今度は裏が出る番だと信じてしまう思い込みです。コインは過去を覚えていないので、確率は毎回同じです。
ホットハンドの誤謬とはどう違いますか?
ギャンブラーの誤謬は連続した結果がもうすぐ途切れると信じることで、ホットハンドの誤謬は連続した結果がこの先も続くと信じることです。向きは逆ですが、どちらもランダムネスの誤った知覚から生じます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Laplace, P.-S. (1814). Essai philosophique sur les probabilités. Paris: Courcier.
  2. Tversky, A., & Kahneman, D. (1971). Belief in the law of small numbers. Psychological Bulletin, 76(2), 105–110.
  3. Kahneman, D., & Tversky, A. (1972). Subjective probability: A judgment of representativeness. Cognitive Psychology, 3(3), 430–454.
  4. Tversky, A., & Kahneman, D. (1974). Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science, 185(4157), 1124–1131.
  5. Bar-Hillel, M., & Wagenaar, W. A. (1991). The perception of randomness. Advances in Applied Mathematics, 12(4), 428–454.
  6. Clotfelter, C. T., & Cook, P. J. (1993). The "gambler's fallacy" in lottery play. Management Science, 39(12), 1521–1525.
  7. Terrell, D. (1994). A test of the gambler's fallacy: Evidence from pari-mutuel games. Journal of Risk and Uncertainty, 8(3), 309–317.
  8. Rabin, M. (2002). Inference by believers in the law of small numbers. Quarterly Journal of Economics, 117(3), 775–816.
  9. Ayton, P., & Fischer, I. (2004). The hot hand fallacy and the gambler's fallacy: Two faces of subjective randomness? Memory & Cognition, 32(8), 1369–1378.
  10. Croson, R., & Sundali, J. (2005). The gambler's fallacy and the hot hand: Empirical data from casinos. Journal of Risk and Uncertainty, 30(3), 195–209.
  11. Oskarsson, A. T., Van Boven, L., McClelland, G. H., & Hastie, R. (2009). What's next? Judging sequences of binary events. Psychological Bulletin, 135(2), 262–285.
  12. Rabin, M., & Vayanos, D. (2010). The gambler's and hot-hand fallacies: Theory and applications. Review of Economic Studies, 77(2), 730–778.
  13. Chen, D. L., Moskowitz, T. J., & Shue, K. (2016). Decision making under the gambler's fallacy: Evidence from asylum judges, loan officers, and baseball umpires. Quarterly Journal of Economics, 131(3), 1181–1242.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。