達成動機理論とは?
達成動機理論は、「ある基準に照らして物事をうまくやり遂げたい」という達成動機の強さが人によって異なり、その違いが課題の選択・努力・粘り強さ・成果を説明すると考える理論です。デイヴィッド・マクレランドらは1953年の『達成動機』で、あいまいな絵から物語を作らせる主題統覚検査(TAT)を使って達成欲求を測定しました。マクレランドは1961年の『達成する社会』で、社会全体の達成動機の水準が経済成長と関係すると主張しています。
マクレランドの3つの欲求
| 欲求 | 特徴 |
|---|---|
| 達成欲求(nAch) | 挑戦的な目標を自分の力で達成したい |
| 親和欲求(nAff) | よい人間関係を築き、受け入れられたい |
| 権力欲求(nPow) | 他者に影響を与え、コントロールしたい |
これらの欲求は生まれつきではなく経験を通じて学習されると考えるため、「欲求理論」「学習された欲求理論」とも呼ばれます。
達成動機が高い人にはどんな特徴がある?
- 簡単すぎる課題や不可能な課題より、ほどほどに難しい(中程度のリスクの)課題を好む
- 結果について具体的ですぐに返ってくるフィードバックを求める
- 成功や失敗を運ではなく自分の努力によるものと考え、個人的な責任を引き受ける
- 未来志向で、新しいやり方を工夫しようとする
アトキンソンの期待×価値モデル
アトキンソン(1957)は達成行動を成功接近動機×成功確率×成功の誘因価で説明しました。成功の誘因価は「1−成功確率」なので、成功確率が0.5前後の中程度の難易度で達成傾向が最大になります。また人には失敗回避動機もあり、これが強い人はとても易しい課題かとても難しい課題を選ぶ傾向があります。この考え方はヴルームの期待理論や現代の期待×価値理論へと受け継がれました。
活用と批判
教育では適度な難易度の課題とすぐのフィードバック、ビジネスでは人材の選抜や目標設定の設計に活かされています。一方で、TATのような投影法は信頼性が低いという指摘があり、外的な達成を重視する点は内発的動機づけを扱う自己決定理論と対比されます。全体像は動機づけ理論や欲求理論を参照してください。
よくある質問
- 達成動機が高ければよいリーダーになれますか?
- 必ずしもそうではありません。マクレランドは、大きな組織の管理者には達成欲求よりも組織のために使われる権力欲求のほうが重要になりうると考えました。
- マズローの欲求階層説とはどう違いますか?
- マズローは欲求が階層順に満たされると考えますが、マクレランドは3つの欲求が学習され、その強さが人によって異なると考えます。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- McClelland, D. C., Atkinson, J. W., Clark, R. A., & Lowell, E. L. (1953). The Achievement Motive. New York: Appleton-Century-Crofts.
- Atkinson, J. W. (1957). Motivational determinants of risk-taking behavior. Psychological Review, 64(6), 359–372.
- McClelland, D. C. (1961). The Achieving Society. Princeton, NJ: Van Nostrand.
