論証の構造
カーター(1983年)が最初に提案し、レスリー(1990年)が洗練させたこの論証は、ベイズの定理に基づいています。人類が合計2000億人で終わる場合と、200兆人まで続く場合という2つの仮説を考えてみましょう。自分の出生順位がおよそ1000億番目だとすると、総人口が小さい仮説のもとでこの順位が出る確率のほうがはるかに高いため、観察後には小さい仮説の確率が大きく上がります。番号の書かれた玉が10個入った壺と100万個入った壺のどちらかから7番の玉を引いたなら、10個の壺だった可能性が高くなるのと同じです。ニールセン(1989年)も独立に似た考えを示しました。レスリー(1996年)は、この論法によって核戦争や環境危機といったリスクの事前確率が高まると考えました。
ゴットのデルタt論法
ゴット(1993年)は、私たちは特別な位置にいないというコペルニクス原理を時間に適用しました。ある対象を無作為な時点で観察するなら、その対象の全寿命のうち中央の95%の区間にいる確率は95%なので、これまで存続した期間の39分の1倍から39倍のあいだだけ、さらに存続すると推論できます。彼は1969年にベルリンの壁を見てこの方法で崩壊の時期を予測したと述べ、人類の残りの存続期間も同じ方法で推定しました。グッドマン(1994年)は、これが事前情報を無視していると批判し、ケイヴス(2008年)はこの規則の予測性能を再検討しています。この議論はフェルミのパラドックスやシミュレーション仮説(ボストロム、2003年)ともつながっています。
批判と参照クラス問題
ディークス(1992年)や、のちのオラム(2002年)は、観察者が多い世界ほど自分が存在する可能性そのものが大きくなるという自己指示仮定を受け入れれば、この効果が終末論法の効果をちょうど打ち消すと主張しました。ボストロム(2002年)は自己サンプリング仮定と自己指示仮定を体系的に比較し、どちらを選んでも奇妙な結論が生じることを示しました。また、「自分」をどの集団から選ばれた標本とみなすか、つまりすべての人間なのか、確率的推論ができる存在なのかを決める参照クラス問題によって、結論は大きく変わります。同じ論点は眠り姫問題(エルガ、2000年)でも繰り返されます。ソワーズ(2002年)のように、出生順位はそもそも無作為標本ではないという反論もあります。これは生存者バイアスのような観測選択効果をどう扱うかという根本的な問いなのです。
よくある質問
- 終末論法を簡単に言うと?
- 自分がすべての人類のなかで特別ではないありふれた順番に生まれたと仮定すると、これから生まれる人がこれまでに生まれた人よりも圧倒的に多い可能性は低い、という推論です。
- 終末論法は人類の絶滅を予言しているのですか?
- いいえ。特定の時点での絶滅を予言するものではなく、観察者自身の位置を証拠として使う確率的推論がどこまで妥当かを問う哲学的な論証です。自己指示仮定などによって結論が打ち消されるという反論も多くあります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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- Leslie, J. (1996). The End of the World: The Science and Ethics of Human Extinction. London: Routledge.
- Gott, J. R. (1993). Implications of the Copernican principle for our future prospects. Nature, 363(6427), 315–319.
- Nielsen, H. B. (1989). Random dynamics and relations between the number of fermion generations and the fine structure constants. Acta Physica Polonica B, 20, 427–468.
- Dieks, D. (1992). Doomsday—or: The dangers of statistics. Philosophical Quarterly, 42(166), 78–84.
- Bostrom, N. (2002). Anthropic Bias: Observation Selection Effects in Science and Philosophy. New York: Routledge.
- Bostrom, N. (2003). Are we living in a computer simulation? Philosophical Quarterly, 53(211), 243–255.
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