歴史:大きさより代表性
1936年の米大統領選で、雑誌『リテラリー・ダイジェスト』は240万人から回答を集めて共和党ランドンの圧勝を予測しましたが、ルーズベルトが46州で勝利しました。標本が電話や自動車を持つ富裕層に偏っていたためです。一方ジョージ・ギャラップは約5万人の代表標本で正確に予測し、名を上げました。この事件は「大きさより無作為性と代表性」という教訓を残しました。その後ウィリアム・コクランが標本調査理論を整理し、1988年にジェイコブ・コーエンが効果量と検出力から実験の標本を計算する方法を広めました。2013年には神経科学研究の検出力の中央値がわずか約20%という分析が出て衝撃を与えました。
アンケートのサンプル数
割合を推定するアンケートの標本数はn = z² × p(1−p) ÷ e²で計算します。信頼水準95%(z=1.96)、最も保守的なp=0.5、許容誤差±5ポイントなら約385人、±3ポイントなら約1,068人です。全国世論調査がおおむね1,000人前後なのはこのためです。誤差を半分にするには標本が4倍必要で、母集団が十分大きければ母集団の大きさはほとんど影響しません。この値が信頼区間の幅を決めます。
実験とA/Bテスト
2群の平均をt検定で比べる実験では、有意水準α(通常0.05)、検出力(通常0.8)、期待する効果量(コーエンのd)から標本を決めます。中程度の効果(d=0.5)なら1群約64人、小さな効果(d=0.2)なら約394人が必要です。A/Bテストでコンバージョン率5%を5.5%に上げる小さな改善を確かめるには、1パターンあたり3万人以上必要になることもあります。標本が不足すると第二種の過誤が増え、偶然有意になった結果は効果が過大になりがちです。無料ソフトG*Powerやオンライン計算機で簡単に計算できます。
よくある質問
- 母集団が大きいほど標本も多く必要?
- いいえ、母集団が数千人以上なら必要な標本数はほぼ同じです。小さいときだけ有限母集団修正をします。
- 回答率が低い場合は?
- 目標標本数を予想回答率で割って多めに配布し、無回答バイアスも確認します。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Cohen, J. (1992). A power primer. Psychological Bulletin, 112(1), 155–159.
- Cochran, W. G. (1977). Sampling Techniques (3rd ed.). Wiley.
- Button, K. S., et al. (2013). Power failure: why small sample size undermines the reliability of neuroscience. Nat Rev Neurosci, 14, 365–376.
