歴史
カイ二乗検定は英国の統計学者カール・ピアソンが1900年の論文で提案しました。サイコロ投げやメンデルの遺伝実験のように、観測結果が理論分布に合っているかを確かめる客観的な基準が必要だと考えたのです。しかしピアソンは分割表の自由度を誤っており、1922年に若きロナルド・フィッシャーがそれを正したことで、2人は生涯の宿敵となりました。1934年にはフランク・イェーツが小標本向けの連続性補正を加えました。現在も社会調査や医学研究で最もよく使われる手法の一つです。
仕組みと種類
各セルで(観測度数−期待度数)²÷期待度数を求め、すべて足した値がχ²統計量です。差が大きいほど値が大きくなり、自由度に応じたカイ二乗分布と比べてp値を求めます。適合度検定は1つの変数の分布が理論と合うか(例:サイコロは公正か)、独立性の検定は2つのカテゴリ変数に関連があるか(例:性別と好きなブランド)、一様性の検定は複数の群の割合が同じかを調べます。分割表の自由度は(行数−1)×(列数−1)です。
注意点と活用
期待度数が5未満のセルが20%を超えると近似が不正確になるため、2×2表ではフィッシャーの正確確率検定を使います。カイ二乗検定は関連の有無だけを示し強さは示さないので、クラメールのVなどを併せて報告します。平均を比べるt検定と違い度数や比率を扱うため、A/Bテストで2つの版のコンバージョン率を比べるときによく使われます。標本が非常に大きいとごく小さな差も有意になるので、標本サイズも考慮しましょう。
よくある質問
- t検定との違いは?
- t検定は連続データの平均を、カイ二乗検定はカテゴリの度数や比率を比べます。
- 期待度数が小さすぎる場合は?
- 2×2表ならフィッシャーの正確確率検定を使うか、カテゴリをまとめます。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Pearson, K. (1900). On the criterion that a given system of deviations... Philosophical Magazine, 50(302), 157–175.
- Fisher, R. A. (1922). On the interpretation of χ² from contingency tables. JRSS, 85(1), 87–94.
- Yates, F. (1934). Contingency tables involving small numbers. JRSS Supplement, 1(2), 217–235.
