発見と意味
1903年、カナダ・マギル大学のアーネスト・ラザフォードとフレデリック・ソディは、放射性元素が別の元素に変わり(崩壊)、その強さが一定の割合で減っていくことを明らかにし、ラザフォードは1907年ごろこの時間を「半減期」と呼びました。個々の原子がいつ崩壊するかは予測できませんが、膨大な数の原子をまとめると一定時間ごとにきっちり半分ずつ減る統計法則に従います。半減期を2回過ぎれば1/4、3回で1/8、10回で約1/1000が残ります。たとえば半減期8日のヨウ素131は24日後に1/8になります。
同位体ごとの半減期
半減期は1秒に満たないものから宇宙の年齢より長いものまでさまざまです。短いものは体に長く残ってはいけない病院の検査に、長いものは長い時間を測る時計として使われます。
| 同位体 | 半減期 | 主な用途 |
|---|---|---|
| テクネチウム99m | 約6時間 | 核医学の画像検査 |
| ヨウ素131 | 約8日 | 甲状腺疾患の治療 |
| セシウム137 | 約30年 | 原発事故の汚染指標 |
| 炭素14 | 約5730年 | 遺物の年代測定 |
| ウラン238 | 約45億年 | 地球の年齢測定 |
表のセシウム137は、2011年の福島第一原発事故後に土壌や食品の汚染を判断する主要な指標になりました。半減期が長いほど放射線は弱いが長く残り、短いほど強いが早く消えます。
年代測定と薬の半減期
1949年、米国のウィラード・リビーは、生物が生きている間は一定に保たれる炭素14が死後に半減期5730年で減ることを利用した放射性炭素年代測定法を開発し、1960年にノーベル化学賞を受けました。約5万年以内の遺物に使われ、より古い岩石はウランやカリウムなど半減期の長い元素で測ります。1956年にはクレア・パターソンが隕石の鉛同位体から地球の年齢を約45億5千万年と算出しました。医学でいう「薬の半減期」は血中濃度が半分になるまでの時間で、服用間隔を決める目安になり、一般に半減期の4〜5倍の時間がたつと薬はほぼ抜けたとみなされます。
よくある質問
- 半減期を2回過ぎると放射性物質はなくなりますか?
- いいえ。1回ごとに半分になるので、2回過ぎると1/4が残ります。理論上ゼロにはならず、10回(約1/1000)過ぎると大きく減ったとみなすのが一般的です。
- 温度を上げると半減期は短くなりますか?
- 放射性崩壊は原子核内部の現象なので、温度・圧力・化学状態の影響をほとんど受けません。だからこそ年代測定の「時計」として使えるのです。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Rutherford, E., & Soddy, F. (1903). Radioactive change. Philosophical Magazine, 5(29), 576–591.
- Libby, W. F. (1955). Radiocarbon Dating (2nd ed.). University of Chicago Press.
- Patterson, C. (1956). Age of meteorites and the earth. Geochimica et Cosmochimica Acta, 10(4), 230–237.
