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レーザー

🔬 自然科学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
レーザーは原子や分子の誘導放出によって光を増幅し、まっすぐ進み波長と位相のそろった強い光をつくる装置です。
目次
  1. 1. アインシュタインの着想からルビーレーザーへ
  2. 2. ふつうの光と何が違うのか
  3. 3. 現代の用途
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

アインシュタインの着想からルビーレーザーへ

1917年、アルベルト・アインシュタインは、光を吸収して励起した原子に同じ光が当たると、原子が同じ向き・波長・位相の光をもう1つ放つ「誘導放出」が起こると予言しました。この考えは40年近く理論のままでした。1954年、アメリカのチャールズ・タウンズはアンモニア分子でマイクロ波を増幅する「メーザー」を作り、1958年にはアーサー・ショーローと共に同じ原理を可視光に使う方法を発表しました。1960年5月、ヒューズ研究所のセオドア・メイマンがルビーの結晶とフラッシュランプで最初のレーザーを発振させ、同年末にアリ・ジャヴァンがヘリウム・ネオンレーザーを、1962年にはロバート・ホールらが半導体レーザーを作りました。タウンズは1964年にノーベル物理学賞を受けましたが、メイマンは受賞しませんでした。当初は「問題を探している解決策」と呼ばれるほど使い道がはっきりしませんでした。

ふつうの光と何が違うのか

電球の光はさまざまな波長が四方八方に広がりますが、レーザー光は単色性、指向性、そろった位相(コヒーレンス)を持ちます。レーザーはエネルギーを注いで励起状態の原子が多い「反転分布」をつくり、両側の鏡の間を往復する光を誘導放出で増やし続ける仕組みです。これらはすべて、原子のエネルギー準位を扱う量子力学と、光が粒(光子)であるという光電効果の洞察の上に成り立っています。レーザーポインターのような低出力でも、目に直接当たれば網膜を傷つけるおそれがあるので、人や航空機に向けてはいけません。

現代の用途

1966年、チャールズ・カオは純度の高いガラス繊維で光を遠くまで送れると提案して2009年にノーベル賞を受け、いまインターネットのデータの大半は半導体レーザーの光として光ファイバーを流れています。バーコードスキャナー、レーザープリンター、ブルーレイ、金属の切断・溶接、レーシック、皮膚治療にも使われます。1985年にドナ・ストリックランドとジェラール・ムルーが開発した「チャープパルス増幅」は超高強度の超短パルスを可能にし、2018年のノーベル賞を受けました。2015年、アメリカのLIGOは長さ4kmのレーザー干渉計で原子核より小さな揺れをとらえ、重力波を初めて直接観測しました。相対性理論の予言が100年後にレーザーで確かめられたのです。

よくある質問

レーザー光はなぜ広がらずにまっすぐ進むの?
位相のそろった光が細いビームとして増幅されて出てくるからです。それでもわずかに広がり、月まで届くころには直径数kmになります。
レーザーポインターはどのくらい危険?
出力が1mWを超えると、目に直接入れば網膜を損傷するおそれがあり、通販品には表示よりずっと強いものもあります。人や動物、車、航空機には絶対に向けないでください。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Einstein, A. (1917). Zur Quantentheorie der Strahlung. Physikalische Zeitschrift, 18, 121–128.
  2. Gordon, J. P., Zeiger, H. J., & Townes, C. H. (1954). Molecular microwave oscillator and new hyperfine structure in the microwave spectrum of NH₃. Physical Review, 95(1), 282–284.
  3. Schawlow, A. L., & Townes, C. H. (1958). Infrared and optical masers. Physical Review, 112(6), 1940–1949.
  4. Maiman, T. H. (1960). Stimulated optical radiation in ruby. Nature, 187(4736), 493–494.
  5. Javan, A., Bennett, W. R., & Herriott, D. R. (1961). Population inversion and continuous optical maser oscillation in a gas discharge containing a He-Ne mixture. Physical Review Letters, 6(3), 106–110.
  6. Hall, R. N., et al. (1962). Coherent light emission from GaAs junctions. Physical Review Letters, 9(9), 366–368.
  7. Kao, K. C., & Hockham, G. A. (1966). Dielectric-fibre surface waveguides for optical frequencies. Proceedings of the IEE, 113(7), 1151–1158.
  8. Strickland, D., & Mourou, G. (1985). Compression of amplified chirped optical pulses. Optics Communications, 56(3), 219–221.
  9. Abbott, B. P., et al. (LIGO Scientific Collaboration and Virgo Collaboration). (2016). Observation of gravitational waves from a binary black hole merger. Physical Review Letters, 116(6), 061102.
  10. Siegman, A. E. (1986). Lasers. Mill Valley, CA: University Science Books.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。