喫煙と肺がん、治療の進化
20世紀初め、肺がんはまれな病気でしたが、たばこの普及とともに急増しました。1950年、英国のドールとヒル、米国のウィンダーとグラハムが喫煙と肺がんの強い関連を報告し、1964年の米公衆衛生局長官報告書がそれを公式に認めて、たばこ対策の出発点となりました。2004年にEGFR遺伝子変異のある患者で分子標的薬(ゲフィチニブ)が劇的に効くことがわかり、非喫煙の東アジア人女性に大きな意味を持ちました。2011年の米国NLST試験は低線量CT検診で肺がん死亡が20%減ると示し、2015年以降は免疫療法が進行肺がんの生存を大きく変えています。
原因と症状
肺がんの多くは喫煙と関連しますが、受動喫煙、ラドン、アスベスト、大気汚染、家族歴も危険因子です。日本でも非喫煙女性の肺腺がんが少なくありません。早期はほとんど症状がなく、進むと長引く咳、血痰、息切れ、胸の痛み、声のかすれ、体重減少が現れます。咳が3週間以上続くなら、結核や肺炎とともに肺がんも疑って受診しましょう。
検診と治療
日本の対策型検診は40歳以上に年1回の胸部X線で、喫煙指数の高い人には喀痰細胞診を追加します。低線量CTは任意型検診として行われ、2025年には重喫煙者への導入も議論されています。早期の非小細胞肺がんは胸腔鏡手術で根治を目指し、進行がんではEGFRやALKなどの遺伝子検査で分子標的薬を選び、変異がなければ免疫療法と化学療法を組み合わせます。禁煙は何歳からでもリスクを下げます。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- 禁煙すればリスクは下がりますか?
- はい。10年ほどで肺がんリスクは吸い続けた人の約半分になります。
- 加熱式たばこなら安全?
- 害が少ないという根拠は限られ、長期的な安全性はまだわかっていません。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Doll, R., & Hill, A. B. (1950). Smoking and carcinoma of the lung. BMJ, 2(4682), 739–748.
- National Lung Screening Trial Research Team. (2011). Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening. NEJM, 365(5), 395–409.
- Lynch, T. J., et al. (2004). Activating mutations in EGFR underlying responsiveness of non-small-cell lung cancer to gefitinib. NEJM, 350(21), 2129–2139.
