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嫌悪的人種主義

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
嫌悪的人種主義とは、平等を心から支持し自分には偏見がないと信じる人々が、無意識に残る否定的感情のために、別のもっともらしい理由を挙げられるあいまいな状況で差別してしまうという社会心理学の概念です。1986年にサミュエル・ガートナーとジョン・ドヴィディオが名づけました。あからさまな敵意ではなく不快感や回避として現れるため「嫌悪的」と呼ばれます。
目次
  1. 1. 概念と起源
  2. 2. 実験的証拠
  3. 3. 含意と介入
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念と起源

ガートナーとドヴィディオ(1986年)は、あからさまな人種主義が減ったあとも差別がなくならない理由を説明しようとしました。多くの人は平等の価値を心から支持していますが、社会化の過程で生じた不快感や不安といった否定的感情を無意識に抱いていると考えました。彼らは自分を偏見のない人間とみなしているため、差別がはっきり見える状況ではむしろ公正にふるまいます。しかし行動の理由を人種以外のものに帰すことができる状況では、偏見が漏れ出ます。これは象徴的人種主義と同様に、現代的偏見を説明する代表的な理論です。

実験的証拠

ガートナーとドヴィディオ(1977年)は緊急事態の実験で、一人のときには白人参加者が黒人と白人の被害者を同じように助けたものの、他の人もいて助けない口実があるときには黒人の被害者をあまり助けなかったという結果を得ました。ドヴィディオとガートナー(2000年)は、応募者の資格が明らかに高いか低いときには差別がないが、あいまいなときには黒人の応募者をあまり推薦しないことを、1989年と1999年に繰り返し確かめました。ホドソンら(2002年)は、人々が食い違う情報のうち望む結論に合うほうに重みを置くことを示しました。ドヴィディオら(2002年)は、潜在的偏見が視線の合わせ方のような非言語行動に現れ、相手がそれを感じ取ることを報告しました。

含意と介入

ドヴィディオとガートナー(2004年)は、嫌悪的人種主義は意図しない差別なので、本人に単に「偏見を捨てよ」と言うやり方はうまくいかないとまとめました。代わりに、評価基準をあらかじめ明確にする、自分の無意識の偏見に気づかせる、共通内集団アイデンティティ・モデルのように「私たち」の範囲を広げる、といった方法が提案されています。ピアソンら(2009年)は、この概念が採用、医療、法執行といった領域での差別の理解に使われていると説明しました。ただし潜在的偏見の測定が実際の行動をどれほど予測するかについては論争があります。

よくある質問

嫌悪的人種主義を簡単に言うと?
自分は公正だと信じている人でも、別の理由を挙げられるあいまいな状況では無意識に差別してしまうという概念です。
なぜ「嫌悪的」と呼ぶのですか?
あからさまな憎しみではなく、不快感や回避といった感情として現れるからです。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Gaertner, S. L., & Dovidio, J. F. (1977). The subtlety of White racism, arousal, and helping behavior. Journal of Personality and Social Psychology, 35(10), 691–707. 責任が分散するときにだけ差別が現れることを示した初期の実験で、嫌悪的人種主義の出発点を見るのに参考になります。
  2. Gaertner, S. L., & Dovidio, J. F. (1986). The aversive form of racism. In J. F. Dovidio & S. L. Gaertner (Eds.), Prejudice, Discrimination, and Racism (pp. 61–89). Orlando, FL: Academic Press. 概念の名前と定義を示した原典の章で、理論の中心的主張を見るのに役立ちます。
  3. Dovidio, J. F., & Gaertner, S. L. (2000). Aversive racism and selection decisions: 1989 and 1999. Psychological Science, 11(4), 315–319. 資格があいまいなときにだけ採用差別が現れることを示した研究で、状況条件の重要性を見るのに参考になります。
  4. Dovidio, J. F., Kawakami, K., & Gaertner, S. L. (2002). Implicit and explicit prejudice and interracial interaction. Journal of Personality and Social Psychology, 82(1), 62–68. 潜在的偏見が非言語行動に漏れ出ることを示した研究で、顕在的・潜在的態度の違いを見るのに役立ちます。
  5. Hodson, G., Dovidio, J. F., & Gaertner, S. L. (2002). Processes in racial discrimination: Differential weighting of conflicting information. Personality and Social Psychology Bulletin, 28(4), 460–471. 食い違う情報を選択的に重みづけて差別を正当化する過程を示した研究で、判断の仕組みを見るのに参考になります。
  6. Dovidio, J. F., & Gaertner, S. L. (2004). Aversive racism. Advances in Experimental Social Psychology, 36, 1–52. 数十年の研究を総合した概観で、理論の全体像を見るのに役立ちます。
  7. Pearson, A. R., Dovidio, J. F., & Gaertner, S. L. (2009). The nature of contemporary prejudice: Insights from aversive racism. Social and Personality Psychology Compass, 3(3), 314–338. 現代的偏見の特徴と介入方法を短くまとめた論文で、入門として参考になります。

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。