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共和分

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
共和分とは、それぞれは単位根をもつ非定常な時系列なのに、ある線形結合をとると定常になる関係のことです。 短期的にはずれても長期的には均衡関係を保つことを意味します。
目次
  1. 1. 共和分とは
  2. 2. なぜ必要なのか
  3. 3. 共和分の検定方法
  4. 4. 誤差修正モデル(ECM)
  5. 5. 代表的な例
  6. 6. よくある質問
  7. 7. 参考文献

共和分とは

共和分(cointegration、コインテグレーション)とは、2つ以上の時系列がそれぞれは単位根をもつ非定常な系列(I(1))でありながら、適切に組み合わせた線形結合は定常(I(0))になる関係をいいます。個々の変数はばらばらに動いているように見えても、互いの距離は一定の水準に戻ってくる長期的な均衡関係がある、という意味です。ロバート・エングルとクライヴ・グレンジャーが1987年の論文で体系化し、2人は2003年にノーベル経済学賞を受賞しました。

📌 ひと目でわかる
提唱
エングルとグレンジャー(1987年)
条件
各変数I(1)、線形結合I(0)
検定
エングル=グレンジャー、ヨハンセン
モデル
誤差修正モデル(ECM)、VECM

なぜ必要なのか

単位根をもつ変数どうしを回帰すると、無関係でも有意に見える見せかけの回帰が起こりえます(グレンジャーとニューボールド、1974年)。かといってすべて差分をとると、変数間の長期的な関係の情報が失われます。共和分は「この関係は見せかけか、本当の長期均衡か」を見分けるための道具です。

共和分の検定方法

方法手順特徴
エングル=グレンジャーの2段階法①水準変数で回帰 ②残差に単位根検定簡単だが、見つけられる共和分関係は1つ
ヨハンセン検定VARモデルでトレース統計量・最大固有値統計量から共和分の数を判定3変数以上で複数の関係を扱える

誤差修正モデル(ECM)

共和分関係があれば、グレンジャー表現定理により誤差修正モデルで表せます。誤差修正モデルは、短期的な変動とともに、長期均衡からのずれ(誤差修正項)を次の期にどれだけ戻すかを示します。誤差修正項の係数が負で有意なら、均衡に戻ろうとする力が働いていると解釈できます。変数が複数ある場合はベクトル誤差修正モデル(VECM)を使います。

代表的な例

  1. 消費と所得:どちらも右肩上がりですが、消費性向は大きくはずれません。
  2. 長短金利:期間プレミアムをはさんで連動します。
  3. ペアトレード:共和分関係にある2銘柄の価格差が開いたら、再び縮まると見込んで売買します。

共和分はよく「酔っぱらいとその犬」にたとえられます。どちらも気ままにふらふら歩きますが、犬は飼い主から離れすぎると戻り、飼い主も犬を呼ぶので、2人の距離は一定の範囲に収まります。それぞれの道のりは予測しにくくても、「距離」は定常な時系列なのです(Murray, 1994)。

よくある質問

相関が高ければ共和分ですか?
いいえ。相関は短期的な連動で、共和分は長期的に距離が一定に保たれるかを見ます。
共和分検定の前に何をすべきですか?
各変数が同じ次数(ふつうはI(1))で和分されているかを単位根検定で確認します。

参考文献

  1. Engle, R. F., & Granger, C. W. J. (1987). Co-integration and error correction: Representation, estimation, and testing. Econometrica, 55(2), 251–276.
  2. Johansen, S. (1988). Statistical analysis of cointegration vectors. Journal of Economic Dynamics and Control, 12(2–3), 231–254.
  3. Granger, C. W. J., & Newbold, P. (1974). Spurious regressions in econometrics. Journal of Econometrics, 2(2), 111–120.
  4. The Royal Swedish Academy of Sciences (2003). The Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel 2003 (nobelprize.org).
  5. Murray, M. P. (1994). A drunk and her dog: An illustration of cointegration and error correction. The American Statistician, 48(1), 37–39.

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この記事は2026年10月23日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。