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競争排除則

🔬 自然科学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
競争排除則は、同じ限られた資源を同じ方法で利用する、つまり生態的地位が完全に重なる2種は同じ場所で長く安定して共存することができず、わずかでも競争に有利な種がやがてもう一方を駆逐するという生態学の原理です。ゲオルギー・ガウゼの1934年の実験にちなんで「ガウゼの法則」とも呼ばれます。
目次
  1. 1. 起源:数理モデルとガウゼの実験
  2. 2. 生態的地位と資源分割
  3. 3. パラドックスと現代の共存理論
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

起源:数理モデルとガウゼの実験

ロトカ(1925年)とヴォルテラ(1926年)は、2種が互いの個体群成長を抑え合う競争方程式をつくりました。このモデルでは、種間競争が種内競争より弱いときにだけ2種は共存できます。ロシアの生物学者ゲオルギー・ガウゼ(1934年)はこれを実験で確かめました。2種のゾウリムシを別々に飼うとどちらもよく増えますが、同じ培養液で同じ餌をめぐって一緒に飼うと一方の種が消えてしまいました。一方、餌をとる場所が異なる種どうしは共存しました。パーク(1948年)のコクヌストモドキの実験では、温度と湿度によってどちらの種が勝つかが入れ替わりました。ハーディン(1960年)はこの考えを「完全な競争者は共存できない」という言葉にまとめ、「競争排除則」という名前を広めました。

生態的地位と資源分割

ハッチンソン(1957年)は生態的地位(ニッチ)を、多くの環境変数からなる「n次元の超体積」と定義し、競争者がいないときに占めうる「基本ニッチ」と、競争のために実際に占める「実現ニッチ」を区別しました。コネル(1961年)はスコットランドの海岸で2種のフジツボを研究し、上部のフジツボが下へ広がれないのはより強い競争者がいるためであることを除去実験で示しました。マッカーサー(1958年)は、同じ木で餌を探す5種のアメリカムシクイが木の異なる高さや部位を使い分けて共存しているという「資源分割」を報告しました。こうした研究から、競争が種のニッチを分化させ、共存を可能にするという説明が導かれました。

パラドックスと現代の共存理論

ハッチンソン(1961年)は、わずかな栄養塩をめぐって競争する湖の植物プランクトン数十種がなぜ共存できるのかを問う「プランクトンのパラドックス」を提起し、環境が平衡に達する前に変わり続けることをその答えとして示しました。ティルマン(1982年)は資源比仮説によって、異なる資源に制限される種が共存する条件を明らかにしました。チェッソン(2000年)は、種間の適応度の差を縮める「均等化」と、種内競争を種間競争より強くする「安定化」とに共存のメカニズムを区別する現代の共存理論を整理しました。これに対しハッベル(2001年)の中立理論は、種が生態的に等しいと仮定しても多様性のパターンを説明できると主張し、レヴァインとヒレリスランバース(2009年)は、ニッチの違いが多様性の維持に実際に重要であることを実験で示しました。この原理はメタ個体群やキーストーン種の研究とともに、種多様性が維持される仕組みを理解する基礎となっています。

よくある質問

競争排除則を簡単に言うと?
同じ餌と空間を同じやり方で使う2種は一か所で長く一緒に暮らせず、少しでも有利な種がやがて残るという原理です。
では、似た種どうしはどうやって共存しているのですか?
餌をとる場所や時間、利用する資源を少しずつ分け合う資源分割や環境の変動、種内競争が種間競争より強くなる安定化の仕組みなどによって共存できます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Gause, G. F. (1934). The Struggle for Existence. Baltimore: Williams & Wilkins.
  2. Lotka, A. J. (1925). Elements of Physical Biology. Baltimore: Williams & Wilkins.
  3. Volterra, V. (1926). Fluctuations in the abundance of a species considered mathematically. Nature, 118(2972), 558–560.
  4. Hardin, G. (1960). The competitive exclusion principle. Science, 131(3409), 1292–1297.
  5. Park, T. (1948). Experimental studies of interspecies competition. I. Competition between populations of the flour beetles, Tribolium confusum Duval and Tribolium castaneum Herbst. Ecological Monographs, 18(2), 265–307.
  6. Connell, J. H. (1961). The influence of interspecific competition and other factors on the distribution of the barnacle Chthamalus stellatus. Ecology, 42(4), 710–723.
  7. Hutchinson, G. E. (1957). Concluding remarks. Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology, 22, 415–427.
  8. MacArthur, R. H. (1958). Population ecology of some warblers of northeastern coniferous forests. Ecology, 39(4), 599–619.
  9. Hutchinson, G. E. (1961). The paradox of the plankton. American Naturalist, 95(882), 137–145.
  10. Tilman, D. (1982). Resource Competition and Community Structure. Princeton: Princeton University Press.
  11. Chesson, P. (2000). Mechanisms of maintenance of species diversity. Annual Review of Ecology and Systematics, 31, 343–366.
  12. Hubbell, S. P. (2001). The Unified Neutral Theory of Biodiversity and Biogeography. Princeton: Princeton University Press.
  13. Levine, J. M., & HilleRisLambers, J. (2009). The importance of niches for the maintenance of species diversity. Nature, 461(7261), 254–257.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。