ストーの実験と概念化
ストー(1976年)は経営学部の学生に架空の企業の財務担当役員の役割を与え、二つの事業部のどちらかに研究開発資金を配分させました。その後、選んだ事業部の業績が悪かったという情報を受けて追加資金を配分させると、最初の決定を自分で下した学生は、他人が決定した場合よりも、失敗した事業部にはるかに多くのお金を投入しました。ストーはこれを、自分の以前の決定が正しかったことを示そうとする自己正当化の動機で説明し、認知的不協和理論と結びつけました。ストー(1981年)とストーとロス(1987年)は、エスカレーションの原因をプロジェクトそのものの要因、心理的要因、社会的要因、組織的要因に分けて整理しました。社会的要因には、面子を保とうとする動機や、一貫性のある指導者を高く評価する文化が含まれます。
サンクコストと罠
アークスとブルーマー(1985年)は、すでに支払った費用のために、よりよい代案があっても元の選択に固執するサンクコスト効果をいくつもの実験で示しました。たとえば、より高く買ったスキー旅行の券を持つ人は、より楽しめそうな別の旅行ではなく高い旅行を選ぶ傾向がありました。ホワイト(1986年)はエスカレーションをプロスペクト理論で再解釈し、すでに損失を出した状況では、人は損失の領域でリスクを好む傾向があるため、確実な損失を確定するより追加投資という賭けを選ぶと説明しました。シュービック(1971年)の「ドル・オークション」では、1ドルを競売にかけ、2位も入札額を支払うというルールのために、入札額がしばしば1ドルをはるかに超えて跳ね上がりました。テガー(1980年)とブロックナーとルービン(1985年)はこうした状況を「罠」と呼び、それまでの投資を回収しようとする動機が対立を拡大させ続けると分析しました。
現場の事例とメタ分析
ロスとストー(1993年)は、アメリカ・ニューヨーク州のショアハム原子力発電所の事例を分析しました。この発電所は当初7,500万ドルと見込まれていましたが、数十億ドルが投じられた後、結局商業運転をせずに閉鎖されました。研究者たちは、初期の楽観、政治的・制度的なコミットメント、撤退の費用などが時間とともにどのようにコミットメントを固めたかを示しました。ストーとホアン(1995年)は、アメリカのプロバスケットボール(NBA)で、成績を統制した後でも、ドラフト順位の高かった選手ほど出場時間が多く、チームに長く残るというサンクコスト効果を報告しました。サイモンソンとストー(1992年)は、決定の責任を結果ではなく過程について問うことや、事前に損失の上限を決めることでエスカレーションが減るという実験結果を報告しました。スリースマンら(2012年)はメタ分析によって、プロジェクト要因、心理的要因、社会的要因、構造的要因のすべてがエスカレーションに影響するとまとめました。この概念はサンクコスト、計画錯誤、現状維持バイアスとともに、意思決定のバイアスの研究で扱われます。
よくある質問
- コミットメントのエスカレーションを簡単に言うと?
- うまくいっていない事業に「すでにこれだけ投資したのだからやめられない」と、お金や時間をさらに注ぎ込み続ける現象です。損失を認めたくない気持ちや、最初の決定が正しかったと示したい気持ちが働きます。
- コミットメントのエスカレーションとサンクコスト効果は同じ概念ですか?
- 密接に関わっていますが、まったく同じではありません。サンクコスト効果は、すでに使った費用のために元の選択に固執する傾向を広く指し、コミットメントのエスカレーションは、否定的なフィードバックが続いているのに同じ方針に資源をますます投入していく過程を指します。エスカレーションには、サンクコストのほかにも自己正当化、面子、組織の構造といった要因がともに働きます。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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