家族ルールとは
家族ルール(家族の規則)とは、家族のメンバーがたがいにどうふるまうか、だれが何を決めるか、どんな気持ちや話題を口にしてよいかを決めている、くり返しの関係パターンのことです。その多くは、だれかが決めたと言わなくても全員が知っていて守っている暗黙のルールです。アメリカ・パロアルトのMRIを設立した精神科医ドン・ジャクソンが1965年の論文で、家族をルールにしたがって動くシステムととらえ、この考え方を示しました。
- 定義
- 関係を形づくるくり返しのパターン
- 種類
- 明示的なルール/暗黙のルール
- 関連
- 家族ホメオスタシス、メタルール
- 理論
- 家族システム論
ジャクソンの3つのアイデア
- 家族ルール:家族のくり返されるやりとりから、観察者が読みとることのできるパターン
- 家族ホメオスタシス:ルールからはずれた行動が出ると、家族はもとのバランスにもどそうとする
- 夫婦のクイド・プロ・クオ:夫婦は「わたしがこれをするから、あなたはあれをして」というギブ・アンド・テイクのルールをつくり、関係を定めていく
明示的なルールと暗黙のルール
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 明示的 | 「夜10時までに帰ってくること」 |
| 暗黙 | 「お父さんの機嫌が悪いときは、だれも話しかけない」 |
| 暗黙 | 「うちでは悲しい気持ちは見せない」 |
| メタルール | 「ルールについては話題にしない」 |
ルールについてのルールであるメタルールがあると、ルールを変えることはとくにむずかしくなります。
お正月やお盆に帰省するたび、同じ場面がくり返されていませんか。だれが台所に立ち、だれが上座にすわり、どの話題にはふれないのか。だれも決めていないのに、みんなが知っています。これが家族ルールです。だれかがそのルールを破ると、場の空気が一気に冷えるのも、家族がもとのバランスにもどろうとするホメオスタシスの働きです。「空気を読む」ことが大切にされる日本の家族では、こうした暗黙のルールがとくに強く働くことがあります。
機能的なルールと機能不全のルール
機能的なルールは、はっきりしていて、状況に応じて変えられ、メンバーの成長を助けます。反対に、かたく、気持ちをおさえこみ、話しあうことのできないルールは機能不全家族の特徴になります。ヴァージニア・サティアは「いつもいい子でいなければならない」のような守りきれないルールを非人間的なルールとよび、「できるときは、いい子でいる」のようにやわらかく変えていけるよう家族を支えました。
家族ルールを見直すヒント
- わが家で口にしてはいけない話題は何だろう?
- けんかが起きたとき、だれがどうやっておさめているだろう?
- そのルールは、いまも家族の役に立っているだろうか?
ルールを守るために家族で共有される物語は、家族神話にもつながります。
よくある質問
- 家族ルールはだれが決めるのですか?
- たいていはだれかが決めたのではなく、くり返されるやりとりのなかで自然にできあがります。
- ルールがあるのはよくないことですか?
- いいえ。どの家族にもルールは必要です。問題になるのは、かたくて話しあえないルールです。
- メタルールとは何ですか?
- ルールについてのルールのことで、「ルールについては話さない」といったものです。
参考文献
- Jackson, D. D. (1965). The study of the family. Family Process, 4(1), 1–20.
- Jackson, D. D. (1965). Family rules: Marital quid pro quo. Archives of General Psychiatry, 12(6), 589–594.
