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サティア経験的家族療法

👪 家族・児童学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ひとことで言うと、サティア経験的家族療法は、家族の問題の根を低い自己価値と機能不全のコミュニケーションに見いだし、家族が「いま・ここ」で感情を直接体験することで一致したコミュニケーションと成長へ導く家族療法モデルです。
目次
  1. 1. 概要
  2. 2. 基本的前提
  3. 3. コミュニケーション・スタンス
  4. 4. 個人の氷山
  5. 5. 主な技法
  6. 6. 目標と評価
  7. 7. 参考文献

概要

サティア経験的家族療法は、アメリカの家族療法家ヴァージニア・サティアが1950〜60年代、パロアルトのMRI(メンタル・リサーチ・インスティテュート)での活動などを通じて発展させたモデルです。症状を取り除くことよりも個人と家族の成長を目標とするため「成長モデル」とも呼ばれます。家族を一つのシステムとして見る点で家族システム理論の流れにありますが、治療者の温かさと情緒的体験、自己価値を特に重視する人間性心理学的アプローチです。サティアのコミュニケーション類型そのものは家族コミュニケーション理論でも扱っています。

基本的前提

  • 人は誰でも、成長し変化するための資源をすでに持っている。
  • 問題そのものが問題なのではなく、問題への対処の仕方が問題である。
  • 低い自己価値(self-worth)が機能不全のコミュニケーションと家族ルールを生み、症状は家族の苦しみを知らせる信号である。
  • 治療は過去の分析よりも、いま・ここの体験と肯定的な方向に焦点を当てる。

コミュニケーション・スタンス

サティアは、ストレス下で自分・相手・状況のどれを無視するかによって、コミュニケーションを五つに分けました。

  • なだめ型(迎合型):自分を無視して相手に合わせる。
  • 非難型:相手を無視して責める。
  • 超合理型:自分と相手を無視し、規則と理屈だけを語る。
  • 打ち消し型(不適切型):自分・相手・状況のすべてを無視し、話をそらす。
  • 一致型:三つすべてを尊重し、言葉と感情、行動が一致する。治療の目標となる型です。

個人の氷山

サティア・モデルは人の内面を氷山にたとえます。水面上に見える行動の下に、対処の仕方、感情と感情についての感情、知覚(考え・信念)、期待、切望、そして最も深いところに自己(生命力、スピリチュアリティ)があると考えます。治療者は質問を通じてこれらの層を順に探り、満たされない期待や切望に気づいて自ら選択できるよう支えます。

主な技法

  • 家族彫刻:家族成員の体を使って関係の距離や姿勢を彫刻のように表し、家族関係を目に見えるようにします。
  • 家族再構成:原家族3世代の人生をロールプレイで再演し、親を一人の人間として理解して過去の学びを捉え直します。
  • 家族地図と影響の輪:成長の過程で影響を与えた家族や人々とその関係を図に描きます。
  • 自己価値を高める:セルフ・マンダラ、パーツ・パーティー(内面のさまざまな部分を認めて統合する)などの活動を用います。

目標と評価

治療の目標は、自己価値を高め、一致したコミュニケーションを行い、自ら選択し責任を持つ人になることです。温かく体験中心の技法は相談現場や教育で広く使われていますが、概念がやや曖昧で効果を検証した研究が少なく、治療者個人の力量に大きく依存するという批判もあります。構造を扱う構造的家族療法、分化を扱うボーエン理論と比較して学ぶとよいでしょう。

参考文献

  1. Satir, V. (1964). Conjoint Family Therapy: A Guide to Theory and Technique. Palo Alto, CA: Science and Behavior Books.
  2. Satir, V. (1972). Peoplemaking. Palo Alto, CA: Science and Behavior Books.
  3. Satir, V., Banmen, J., Gerber, J., & Gomori, M. (1991). The Satir Model: Family Therapy and Beyond. Palo Alto, CA: Science and Behavior Books.

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この記事は2026年10月15日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。