定義とウサギ問題
フィボナッチ数列は最初の2項を1とし(0から始めることもあります)、その後は直前の2項の和を並べた数列です。名前はイタリア・ピサの数学者レオナルド、通称フィボナッチが1202年の『算盤の書(Liber Abaci)』に載せたウサギの問題に由来します。「生まれたばかりのウサギのつがいが1か月後から毎月1つがいずつ子を産むと、1年後に何つがいになるか」を解くと、月ごとの数が1, 1, 2, 3, 5, 8…と増えていきます。ただしこの数列は、それよりずっと前にインドの韻律学者が長短の音節の並べ方を数える中で知っていました。「フィボナッチ数列」という呼び名は19世紀フランスの数学者エドゥアール・リュカが広めました。
黄金比に近づく比
隣り合う項の比F(n+1)/F(n)を計算すると2, 1.5, 1.667, 1.6, 1.625…と上下に揺れながら黄金比φ = (1+√5)/2 ≈ 1.6180に近づきます。そのためn番目の項をφのべき乗で直接求める「ビネの公式」があります。どんな自然数も、連続しないフィボナッチ数の和としてただ1通りに表せるというゼッケンドルフの定理など、面白い性質もたくさんあります。
| n | F(n) | F(n)/F(n−1) |
|---|---|---|
| 1 | 1 | — |
| 2 | 1 | 1.000 |
| 3 | 2 | 2.000 |
| 4 | 3 | 1.500 |
| 5 | 5 | 1.667 |
| 6 | 8 | 1.600 |
| 7 | 13 | 1.625 |
| 8 | 21 | 1.615 |
| 9 | 34 | 1.619 |
| 10 | 55 | 1.6176 |
| 11 | 89 | 1.6182 |
| 12 | 144 | 1.6180 |
自然と生活の中のフィボナッチ
ヒマワリの種は逆向きに巻く2組のらせんを作り、その本数は34と55、55と89のように隣り合うフィボナッチ数であることが多く、松ぼっくり(8と13)やパイナップルの模様も同様です。新しい葉や種が約137.5度の「黄金角」ずつずれて生えると空間を最も均等に埋められるためだという説明が、実験やモデルで裏付けられています。ただしすべての植物がそうではなく、よく引き合いに出されるオウムガイの殻は黄金らせんとはかなり異なります。株価チャートのフィボナッチ・リトレースメント(23.6%、38.2%、61.8%)は投資家がよく使う補助線ですが、価格が必ずそこで反転する科学的根拠は弱いものです。コンピュータ科学では再帰や動的計画法の定番の例題です。
よくある質問
- フィボナッチ数列は0から始まる?1から始まる?
- どちらも使われます。数学ではF(0)=0、F(1)=1と定義することが多く、元のウサギ問題のように1, 1で始めることもあります。以降の項はどちらでも同じです。
- 自然は本当にフィボナッチ数列に従っていますか?
- ヒマワリや松ぼっくりなど、葉や種がらせん状に並ぶ植物でよく見られるのは事実ですが、すべての自然現象に当てはまるわけではありません。誇張された例もあります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Sigler, L. E. (2002). Fibonacci's Liber Abaci: A Translation into Modern English of Leonardo Pisano's Book of Calculation. Springer.
- Singh, P. (1985). The so-called Fibonacci numbers in ancient and medieval India. Historia Mathematica, 12(3), 229–244.
- Koshy, T. (2018). Fibonacci and Lucas Numbers with Applications (2nd ed.). Wiley.
- Douady, S., & Couder, Y. (1992). Phyllotaxis as a physical self-organized growth process. Physical Review Letters, 68(13), 2098–2101.
