忘却曲線とは
忘却曲線(forgetting curve)は、学んだ内容が時間の経過とともにどれだけ記憶から失われるかを表したグラフです。ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが1885年の著書『記憶について』で発表しました。曲線は最初の数時間で急に下がり、その後はなだらかになる形をしています。受験勉強の復習計画でもよく引き合いに出されます。
📌 ひと目でわかる
- 研究者
- ヘルマン・エビングハウス
- 発表
- 1885年『記憶について(Über das Gedächtnis)』
- 方法
- 無意味つづりのリストを覚え直すのにかかる時間を測定
- 核心
- 忘却は最初に速く、その後ゆるやかになる
エビングハウスの実験
エビングハウスは、意味の影響を除くため「DAX」「BOK」のような無意味つづりのリストをつくり、自分で覚えました。一定時間後に同じリストを完全に覚え直し、最初より何%時間を節約できたかという節約率(savings)で記憶を測りました。20分後、1時間後、9時間後、1日後、2日後、6日後、31日後を比べています。
追試で見た曲線
「1日で74%忘れる」といった数字がよく出回りますが、そのまま信じるのは危険です。マーとドロス(2015)はエビングハウスの方法をそのまま再現し、よく似た形の曲線を得ましたが、数値は覚える材料や人、測り方によって大きく変わります。意味のある内容や理解した内容は、無意味つづりよりずっと長く残ります。
また追試では、1日後あたりで記憶が少し持ち直す区間も見られ、眠っている間に記憶が整理される効果ではないかと考えられています。
| 経過時間 | 曲線の特徴 |
|---|---|
| 20分〜1時間 | 最も速く忘れる |
| 1日前後 | 減り方がゆるやかに。睡眠の効果の可能性 |
| 数日〜1か月 | ゆっくり減り続けるが、一部は長く残る |
忘却を遅らせる勉強法
- その日のうちに短く復習する。曲線が最も急な初日に一度思い出すと効果的です。
- 間隔を広げながら復習する。1日後、3日後、1週間後、2週間後のように広げていきます。分散効果も参考にしてください。
- 読み直すより思い出す。教科書を閉じて自分にクイズを出す想起練習(テスト効果)のほうが長く残ります。
- 意味づけをする。すでに知っていることと結びつけ、例を自分でつくると忘れにくくなります。
- しっかり眠る。試験前の徹夜より、睡眠のほうが記憶の定着に役立ちます。
よくある質問
- エビングハウスの忘却曲線とは?
- 学んだ内容を時間とともにどれだけ忘れるかを示した曲線で、最初は速く、その後はゆるやかに忘れていく形です。
- 「1日で74%忘れる」は本当ですか?
- 無意味つづりを使ったもとの実験に近い数値にすぎず、意味のある内容や理解した内容はずっと長く記憶に残ります。
- 忘却曲線を生かした復習のタイミングは?
- 学んだ当日に一度、その後1日・3日・1週間・2週間と間隔を広げながら、自分で思い出す形で復習するのが効果的です。
参考文献
- Ebbinghaus, H. (1885). Über das Gedächtnis: Untersuchungen zur experimentellen Psychologie. Leipzig: Duncker & Humblot. (English trans. 1913, Memory: A Contribution to Experimental Psychology.)
- Murre, J. M. J., & Dros, J. (2015). Replication and analysis of Ebbinghaus’ forgetting curve. PLOS ONE, 10(7), e0120644.
