ゲーム理論とは?
ゲーム理論は、複数の主体が互いの出方を読み合いながら意思決定する戦略的相互作用を数学的に分析する理論です。数学者ジョン・フォン・ノイマンと経済学者オスカー・モルゲンシュテルンが1944年の『ゲームの理論と経済行動』で体系化しました。ここでいう「ゲーム」は遊びに限らず、価格競争、交渉、選挙、軍拡競争など、結果が互いの選択に依存するあらゆる状況を指します。
基本要素
- プレイヤー:意思決定する主体(個人、企業、国家)
- 戦略:各プレイヤーが選べる行動計画
- 利得:選択の組み合わせごとに各プレイヤーが得る結果
- 情報:相手の行動や利得をどこまで知っているか
同時に選ぶ戦略形(標準形)ゲームと、順番に選び木の形で表す展開形ゲーム、拘束力のある合意ができる協力ゲームとできない非協力ゲームに分けられます。
ナッシュ均衡と代表的なゲーム
ジョン・ナッシュ(1950, 1951)は「他のプレイヤーが戦略を変えない限り、誰も自分だけ戦略を変えて得をすることができない状態」を均衡と定義しました。これがナッシュ均衡です。
- 囚人のジレンマ:各自にとって合理的な裏切りが、全体として悪い結果を招く
- チキンゲーム:先に引いた方が負けだが、双方が譲らなければ最悪の結果になる
- 調整ゲーム:同じ選択をすれば全員が得をする(例:規格の統一)
- 最後通牒ゲーム:提案が拒否されると双方とも何も得られない分配ゲーム
どこで使われるのか
寡占企業の価格・生産量競争、オークション設計、労使交渉、国際関係の抑止戦略、生物の進化的に安定な戦略など幅広く使われています。繰り返しゲームで協力がどう生まれるかはつきあい方の科学(協力の進化)で、共有資源が乱用される構造は共有地の悲劇で扱います。
限界
伝統的なゲーム理論は、すべてのプレイヤーが合理的で十分な計算能力を持つと仮定します。実験では公平さや報復といった動機から予測と異なる選択がよく見られ、それを取り入れた行動ゲーム理論が発展しました。均衡が複数ある場合にどれが実現するかを決めにくいという問題もあります。
よくある質問
- ゲーム理論は経済学部だけで学ぶものですか?
- いいえ。経営戦略、政治学、生物学、情報科学(AIやネットワーク)でも基本的な道具として扱われます。
- ナッシュ均衡は常に最善の結果ですか?
- いいえ。囚人のジレンマのように、均衡が全員にとってより悪い結果になることもあります。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- von Neumann, J., & Morgenstern, O. (1944). Theory of Games and Economic Behavior. Princeton, NJ: Princeton University Press.
- Nash, J. F. (1950). Equilibrium points in n-person games. Proceedings of the National Academy of Sciences, 36(1), 48–49.
- Nash, J. (1951). Non-cooperative games. Annals of Mathematics, 54(2), 286–295.
- Osborne, M. J., & Rubinstein, A. (1994). A Course in Game Theory. Cambridge, MA: MIT Press.
