インフレーションとは
インフレーションは、いくつかの商品ではなく物価全体が一定期間上がり続ける現象です。物価が上がると同じ1万円で買える量が減り、お金の購買力が下がります。一般に消費者物価指数(CPI)の前年同月比で測り、値動きの大きい食料やエネルギーを除いたコア指数で基調を見ます(Mankiw, 2021)。日本銀行をはじめ多くの中央銀行が2%程度の物価安定目標を掲げています。
インフレはなぜ起こるのか?
| タイプ | 仕組み | 例 |
|---|---|---|
| ディマンドプル・インフレ | 総需要が供給能力より速く増える | 景気の過熱、大規模な財政支出 |
| コストプッシュ・インフレ | 生産コストが上がり供給が減る | 原油・原材料価格の高騰、供給網の混乱 |
| 貨幣的要因 | 通貨量が生産より速く増える | 過剰な通貨供給 |
フリードマンは「インフレはいつでもどこでも貨幣的現象である」と主張しました(Friedman, 1970)。人々が物価上昇を予想すると、それが賃金や価格に織り込まれて実際の物価を押し上げる予想インフレも重要です。
得をする人、損をする人は?
フィッシャー方程式(Fisher, 1930)によれば、実質金利 ≈ 名目金利 − インフレ率です。予想以上に物価が上がると実質的な借金の負担が軽くなるため借り手には有利で、預金者や年金など固定収入の人、現金を持つ人には不利になります。値札を頻繁に変えるメニューコスト、税制のゆがみ、将来計画の不確実性もコストです。
政策対応と関連概念
中央銀行は物価が目標を上回ると政策金利を引き上げて需要を冷まします。逆に景気が悪いときは利下げや量的緩和を用います。フィリップス(1958)が示した失業率と賃金上昇率の逆相関はフィリップス曲線につながりました。物価が持続的に下がるのはデフレーション、景気停滞と物価高が同時に起こるのはスタグフレーションです。
よくある質問
- 物価が少しずつ上がるのも悪いことですか?
- 緩やかで予測可能なインフレは大きな問題ではないとする見方が多く、そのため中央銀行も0%ではなく2%程度を目標にしています。
- 体感物価と公式の物価が違うのはなぜですか?
- CPIは平均的な世帯の消費バスケットを基準にしています。食料品などよく買う品目が大きく値上がりすると、体感物価は高く感じられます。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- Mankiw, N. G. (2021). Principles of economics (9th ed.). Cengage Learning.
- Fisher, I. (1930). The theory of interest. Macmillan.
- Friedman, M. (1970). The counter-revolution in monetary theory (IEA Occasional Paper No. 33). Institute of Economic Affairs.
- Phillips, A. W. (1958). The relation between unemployment and the rate of change of money wage rates in the United Kingdom, 1861–1957. Economica, 25(100), 283–299.
