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制度的同型化

👥 社会学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
制度的同型化とは、同じ組織フィールドに属する組織が、効率性のためというよりも法的な強制、不確実性の中での模倣、専門職規範の普及によって、構造や慣行がしだいに互いに似ていく過程を指します。
目次
  1. 1. 「鉄の檻」再訪
  2. 2. 三つのメカニズム
  3. 3. 実証研究と批判
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

「鉄の檻」再訪

マックス・ウェーバーは、合理化と官僚制が市場競争と効率性の圧力によって広がり、人々を「鉄の檻」に閉じ込めると考えました。ポール・ディマジオとウォルター・パウエル(1983年)はこれを再検討し、今日組織が似通っていく理由は効率性よりも、同じ「組織フィールド」の中で働く制度的な圧力だと主張しました。組織フィールドとは、供給者、消費者、規制機関、競争相手のように互いを意識する組織の集まりです。生態学者ホーリー(1968年)の用語を借りた「同型化」とは、同じ環境条件に置かれた単位が互いに似ていく過程です。ハナンとフリーマン(1977年)の組織生態学が強調する「競争的同型化」は非効率な組織が淘汰されることで生じるのに対し、「制度的同型化」は正統性や社会的な適合性を得ようとする過程で生じます。これは新制度論の組織研究の中核概念です。

三つのメカニズム

第一に、強制的同型化は、政府の規制、法、親会社や資金提供者の要求といった公式・非公式の圧力から生じます。たとえば会計基準や環境規制が組織の構造を似通わせます。第二に、模倣的同型化は、目標があいまいだったり技術が不確実だったりするときに、成功しているように見える組織をまねる過程です。ヘイヴマン(1993年)は、米国の貯蓄貸付組合が収益性の高い大手組合に倣って新市場に参入したことを示しました。これは情報カスケードとも似た論理です。第三に、規範的同型化は専門職化から生まれます。同じ大学教育、資格、専門職団体、コンサルタントを経た管理者たちが似た慣行を広めます。マイヤーとローワン(1977年)は、組織が実際の業務とは無関係に社会で合理的とみなされる構造を「神話と儀礼」として採用し、公式構造と実際の活動を切り離す「脱連結(デカップリング)」で対応すると説明しました。

実証研究と批判

トルバートとザッカー(1983年)は米国の都市における公務員制度改革の普及で、初期の採用は都市の必要に応じたものだったが、後期の採用は正統性のためだったことを示しました。これはイノベーション普及の研究とつながります。ウェストファル、グラティ、ショーテル(1997年)は、病院のTQM(総合的品質管理)導入において、早く導入した病院はカスタマイズして効率性を得たのに対し、遅く導入した病院は標準型をそのまま採り入れて正統性を得たと分析しました。ディープハウス(1996年)は銀行の同型化が規制機関やメディアによる正統性評価を高めることを示し、マイヤーら(1997年)は国民国家が世界社会のモデルに倣って教育や憲法の制度を似通わせていく現象を分析しました。一方、クリスティン・オリバー(1991年)は、組織は受動的に順応するだけでなく、妥協、回避、抵抗、操作といった戦略的対応をとると批判し、ミズルチとフェイン(1999年)は研究が模倣的同型化ばかりを過度に用いていると指摘しました。イェンス・ベッカート(2010年)は同じメカニズムが収斂だけでなく分岐も生みうると考え、開発学では実際の能力なしに形式だけを写す「同型的模倣」が能力の罠をつくるという批判もあります(アンドルーズら、2013年)。

よくある質問

制度的同型化と競争的同型化はどう違うのですか?
競争的同型化は市場競争で非効率な組織が淘汰され、残った組織が似通っていく過程であり、制度的同型化は規制、模倣、専門職規範を通じて正統性を得ようとする中で似通っていく過程です。
同型化は組織にとって悪いことですか?
必ずしもそうではありません。正統性や資源の確保に役立ちますが、実際の問題解決と無関係な形式だけをまねると、非効率や脱連結が生じることがあります。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. DiMaggio, P. J., & Powell, W. W. (1983). The iron cage revisited: Institutional isomorphism and collective rationality in organizational fields. American Sociological Review, 48(2), 147–160.
  2. Meyer, J. W., & Rowan, B. (1977). Institutionalized organizations: Formal structure as myth and ceremony. American Journal of Sociology, 83(2), 340–363.
  3. Hawley, A. H. (1968). Human ecology. In D. L. Sills (Ed.), International Encyclopedia of the Social Sciences (pp. 328–337). New York: Macmillan.
  4. Hannan, M. T., & Freeman, J. (1977). The population ecology of organizations. American Journal of Sociology, 82(5), 929–964.
  5. Tolbert, P. S., & Zucker, L. G. (1983). Institutional sources of change in the formal structure of organizations: The diffusion of civil service reform, 1880–1935. Administrative Science Quarterly, 28(1), 22–39.
  6. Haveman, H. A. (1993). Follow the leader: Mimetic isomorphism and entry into new markets. Administrative Science Quarterly, 38(4), 593–627.
  7. Oliver, C. (1991). Strategic responses to institutional processes. Academy of Management Review, 16(1), 145–179.
  8. Deephouse, D. L. (1996). Does isomorphism legitimate? Academy of Management Journal, 39(4), 1024–1039.
  9. Mizruchi, M. S., & Fein, L. C. (1999). The social construction of organizational knowledge: A study of the uses of coercive, mimetic, and normative isomorphism. Administrative Science Quarterly, 44(4), 653–683.
  10. Westphal, J. D., Gulati, R., & Shortell, S. M. (1997). Customization or conformity? An institutional and network perspective on the content and consequences of TQM adoption. Administrative Science Quarterly, 42(2), 366–394.
  11. Meyer, J. W., Boli, J., Thomas, G. M., & Ramirez, F. O. (1997). World society and the nation-state. American Journal of Sociology, 103(1), 144–181.
  12. Beckert, J. (2010). Institutional isomorphism revisited: Convergence and divergence in institutional change. Sociological Theory, 28(2), 150–166.
  13. Andrews, M., Pritchett, L., & Woolcock, M. (2013). Escaping capability traps through problem driven iterative adaptation (PDIA). World Development, 51, 234–244.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。