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道徳的排除

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
道徳的排除とは、ある個人や集団を、道徳的価値と公正さのルールが適用される範囲、すなわち「道徳共同体」の外に置く過程をいいます。いったん排除された対象は、取るに足らない、使い捨てにできる、値しない存在とみなされ、彼らが受ける被害は正当なもの、または気にかける必要のないものとして受け入れられます。1990年にスーザン・オポトウが体系化しました。差別から集団暴力まで幅広い不正義を説明する概念です。
目次
  1. 1. 概念と正義の範囲
  2. 2. 道徳的離脱と非人間化
  3. 3. 道徳的関心の範囲
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念と正義の範囲

オポトウ(1990年)は、人々が公正に扱うべきだと感じる対象の境界を「正義の範囲」と呼びました。この範囲内の人には公正さ、資源配分、犠牲が考慮されますが、範囲外の人には同じルールが適用されません。オポトウは、道徳的排除が極端な暴力だけでなく、無関心、二重基準、被害の矮小化、被害者非難のような日常的で微妙な形でも現れることを強調しました。対立が激しく、資源が乏しく、相手が外集団としてはっきり区別されるほど、排除は起こりやすくなります。

道徳的離脱と非人間化

バンデューラ(1999年)は、ふだんは道徳的な人が有害な行動をとれるようにする「道徳的離脱」の仕組みをまとめました。有害な行動を崇高な目的で正当化すること、婉曲な表現を使うこと、責任を上層部や集団に転嫁すること、結果を小さくみせること、被害者を責めたり非人間化したりすることなどです。バンデューラら(1996年)はこれを測る尺度を作り、道徳的離脱が大きいほど攻撃行動が多いことを示しました。バスティアンら(2011年)は、人間らしさをあまり付与されない対象ほど道徳的配慮が減ることを示しました。ストーブ(1989年)は、ホロコーストなどの集団暴力が小さな排除と差別から始まり、段階的に拡大すると分析しました。

道徳的関心の範囲

最近の研究は、人によって道徳的関心を向ける対象の範囲、すなわち「道徳の輪」が異なることを扱っています。クリムストンら(2016年)は、家族、友人、外国人、動物、自然など、どこまでを道徳的配慮の対象とみるかを測る尺度を作りました。ウェイツら(2019年)は、リベラルな人ほど道徳の輪が広く遠い対象まで含み、保守的な人ほど家族や共同体のような身近な対象に集中するという結果を得ました。これは道徳基盤理論とつながり、政治的対立において互いに誰を守るべきだと考えているかの違いを理解するのに役立ちます。

よくある質問

道徳的排除を簡単に言うと?
ある人たちを「公正に扱うべき対象」の範囲から外してしまい、彼らが被害を受けても大したことではないと思うようになる過程です。
極端な場合にだけ現れるのですか?
いいえ。集団暴力だけでなく、無関心、二重基準、被害者非難のような日常的な形でも現れます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Opotow, S. (1990). Moral exclusion and injustice: An introduction. Journal of Social Issues, 46(1), 1–20. 道徳的排除と道徳共同体の概念をまとめた原典で、定義と兆候を見るのに参考になります。
  2. Staub, E. (1989). The Roots of Evil: The Origins of Genocide and Other Group Violence. Cambridge: Cambridge University Press. 集団暴力が段階的に拡大する過程を扱った本で、歴史的文脈を見るのに役立ちます。
  3. Bandura, A., Barbaranelli, C., Caprara, G. V., & Pastorelli, C. (1996). Mechanisms of moral disengagement in the exercise of moral agency. Journal of Personality and Social Psychology, 71(2), 364–374. 道徳的離脱の尺度を開発した研究で、個人差の測定を見るのに参考になります。
  4. Bandura, A. (1999). Moral disengagement in the perpetration of inhumanities. Personality and Social Psychology Review, 3(3), 193–209. 非人間的な行為を可能にする道徳的離脱の仕組みをまとめた論文で、仕組みを見るのに役立ちます。
  5. Bastian, B., Laham, S. M., Wilson, S., Haslam, N., & Koval, P. (2011). Blaming, praising, and protecting our humanity: The implications of everyday dehumanization for judgments of moral status. British Journal of Social Psychology, 50(3), 469–483. 人間性の付与が道徳的地位の判断とつながることを示した研究で、非人間化との関係を見るのに参考になります。
  6. Crimston, C. R., Bain, P. G., Hornsey, M. J., & Bastian, B. (2016). Moral expansiveness: Examining variability in the extension of the moral world. Journal of Personality and Social Psychology, 111(4), 636–653. 道徳的関心の範囲を測る尺度を作った研究で、個人差を見るのに役立ちます。
  7. Waytz, A., Iyer, R., Young, L., Haidt, J., & Graham, J. (2019). Ideological differences in the expanse of the moral circle. Nature Communications, 10, 4389. イデオロギーによって道徳的関心の範囲が異なることを示した研究で、政治的な違いを見るのに参考になります。

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。