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下位人間化

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
下位人間化とは、人々が内集団を「より人間的な」存在とみなし、外集団には人間らしさをあまり与えない微妙な傾向をいいます。とくに動物も感じる喜び、怒り、恐れといった一次感情よりも、郷愁、思いやり、誇りのように人間固有とされる二次感情を外集団にあまり帰属させない形で現れます。2000年にジャック=フィリップ・レイエンスらが提案しました。あからさまな敵意がなくても現れる点が特徴です。
目次
  1. 1. 概念と出発点
  2. 2. 証拠と帰結
  3. 3. 非人間化研究の中での位置
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念と出発点

レイエンスら(2000年)は、人々が人間らしさの核心を知能、言語、そして繊細な感情に見いだすことに注目しました。彼らは感情を、動物も感じる一次感情と、人間だけが感じるとされる二次感情に分けました。そして人々が外集団にも一次感情は同じように帰属させるものの、二次感情はあまり帰属させないことを示しました。これは外集団を完全に人間でない存在とみなすのではなく、「少し人間らしくない」存在とみなす微妙な現象なので「下位」人間化と呼ばれます。社会的アイデンティティ理論の内集団びいきが感情の帰属にも現れたものといえます。

証拠と帰結

レイエンスら(2001年)は複数の実験で、互いに対立のない集団の間でも二次感情を内集団により多く結びつけることを確かめました。コルテスら(2005年)は、この効果が単に内集団をよく知っているからではないことを検証しました。ヴァースら(2003年)は、外集団の成員が二次感情を表すと、内集団の成員が表すときよりも援助や接近が少なくなるという行動的帰結を報告しました。こうした研究は、災害被害者への支援や集団間感情の研究にもつながっています。

非人間化研究の中での位置

ハスラム(2006年)は、人間固有の特性を否定して動物のようにみなす形と、人間本性の特性を否定して機械のようにみなす形に非人間化を分ける統合モデルを示し、下位人間化は前者の微妙な版にあたります。ハスラムとロフナン(2014年)は、非人間化が暴力、差別、道徳的排除の正当化に関わるという研究をまとめました。クテイリーら(2015年)は、一部の集団を進化段階の図で進化の遅れた位置に置くあからさまな非人間化がいまも存在し、下位人間化とは異なる結果を予測することを示しました。これはステレオタイプ内容モデルの軽蔑の対象となる集団の研究ともつながります。

よくある質問

下位人間化を簡単に言うと?
別の集団の人も喜んだり怒ったりはすると認めながら、懐かしさや思いやりのような繊細な感情はあまり感じないとみなし、それとなく人間らしくないとみる傾向です。
非人間化とどう違いますか?
非人間化はあからさまに動物や機械のようにみなすことまで含みますが、下位人間化は敵意がなくても現れる微妙で日常的な形です。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Leyens, J.-P., Paladino, P. M., Rodriguez-Torres, R., Vaes, J., Demoulin, S., Rodriguez-Perez, A., & Gaunt, R. (2000). The emotional side of prejudice: The attribution of secondary emotions to ingroups and outgroups. Personality and Social Psychology Review, 4(2), 186–197. 下位人間化の概念を提案した原典で、一次・二次感情の区別を見るのに参考になります。
  2. Leyens, J.-P., Rodriguez-Perez, A., Rodriguez-Torres, R., Gaunt, R., Paladino, M.-P., Vaes, J., & Demoulin, S. (2001). Psychological essentialism and the differential attribution of uniquely human emotions to ingroups and outgroups. European Journal of Social Psychology, 31(4), 395–411. 人間固有の感情を内集団により多く帰属させることを示した実験的証拠で、現象の根拠を見るのに役立ちます。
  3. Vaes, J., Paladino, M. P., Castelli, L., Leyens, J.-P., & Giovanazzi, A. (2003). On the behavioral consequences of infrahumanization: The implicit role of uniquely human emotions in intergroup relations. Journal of Personality and Social Psychology, 85(6), 1016–1034. 下位人間化が援助や接近といった行動に影響することを示した研究で、実際の帰結を見るのに参考になります。
  4. Cortes, B. P., Demoulin, S., Rodriguez, R. T., Rodriguez, A. P., & Leyens, J.-P. (2005). Infrahumanization or familiarity? Attribution of uniquely human emotions to the self, the ingroup, and the outgroup. Personality and Social Psychology Bulletin, 31(2), 243–253. なじみ深さだけでは説明できないことを検証した研究で、代替的説明を見るのに役立ちます。
  5. Haslam, N. (2006). Dehumanization: An integrative review. Personality and Social Psychology Review, 10(3), 252–264. 非人間化の二つの形を区別した統合モデルで、下位人間化の位置づけを見るのに参考になります。
  6. Haslam, N., & Loughnan, S. (2014). Dehumanization and infrahumanization. Annual Review of Psychology, 65, 399–423. 非人間化と下位人間化の研究を総合した概観で、研究の流れ全体を見るのに役立ちます。
  7. Kteily, N., Bruneau, E., Waytz, A., & Cotterill, S. (2015). The ascent of human: Evidence for blatant dehumanization. Journal of Personality and Social Psychology, 109(5), 901–931. 微妙な下位人間化と区別されるあからさまな非人間化を測定した研究で、概念の比較に参考になります。

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。