発見の歴史
1771年、英国のジョゼフ・プリーストリーは、密閉したガラス容器でろうそくが消えた空気も、ミントの枝を入れておくと再びネズミが生きられるようになることを発見しました。1779年、オランダ出身の医師ヤン・インゲンホウスは、この「空気の浄化」が日光の下で緑の葉にだけ起こることを示し、ジャン・スネビエは植物が二酸化炭素を吸収することを明らかにしました。1930年代にはコルネリス・ファン・ニールが、光合成の酸素は二酸化炭素ではなく水から生じると主張し、1941年に同位体実験で確かめられました。
しくみ
光合成は2つの段階に分かれます。チラコイド膜での明反応では、クロロフィルが光を吸収して水を分解し、酸素を放出するとともにエネルギー分子ATPとNADPHをつくります。ストロマでのカルビン回路(炭素固定反応)では、そのエネルギーを使って酵素ルビスコが二酸化炭素を取り込み、糖をつくります。1950年代、メルヴィン・カルビンは放射性の炭素14を緑藻に与えて炭素の行方を追い、この回路を解明して1961年にノーベル化学賞を受けました。トウモロコシなどのC4植物やサボテンなどのCAM植物は、暑く乾燥した環境に適応した変形版です。
地球と気候への影響
約24億年前、シアノバクテリアの光合成によって大気中の酸素が初めて大きく増える「大酸化イベント」が起こり、複雑な生命が現れる土台になりました。いまも陸の植物と海の植物プランクトンは毎年ばく大な炭素を吸収し、温室効果を和らげる吸収源となっています。そのため森林の保護と再生はカーボンニュートラル戦略の柱であり、エルニーニョのような気候変動は海のプランクトンの光合成量にも影響します。太陽光から燃料をつくる「人工光合成」の研究も進んでいます。
よくある質問
- 植物は夜に酸素を出さないのですか?
- 夜は光がないため光合成が止まり呼吸だけを行うので、むしろわずかに酸素を使います。量はごく少なく、寝室の観葉植物が害になることはありません。
- 葉が緑色なのはなぜですか?
- クロロフィルが主に赤と青の光を吸収し、緑の光を反射するからです。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Ingenhousz, J. (1779). Experiments upon Vegetables, Discovering Their Great Power of Purifying the Common Air in the Sun-shine. London: P. Elmsly.
- Calvin, M. (1961). The path of carbon in photosynthesis. Nobel Lecture, December 11, 1961.
- Lyons, T. W., Reinhard, C. T., & Planavsky, N. J. (2014). The rise of oxygen in Earth's early ocean and atmosphere. Nature, 506, 307–315.
