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肯定的弁別性

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
肯定的弁別性とは、人々が自集団を関連するほかの集団と比べて、よりすぐれ、はっきり区別される存在とみなそうとする動機をいいます。アンリ・タジフェルとジョン・ターナーの社会的アイデンティティ理論の中心的な概念で、人々は集団への所属から自尊心の一部を得るため、比較で優位を確保しようとするとみます。この動機は内集団びいきの原因になることもあれば、低地位集団に個人的移動、社会的創造性、社会的競争といった戦略をとらせることもあります。
目次
  1. 1. 概念と理論上の位置
  2. 2. 低地位集団の戦略
  3. 3. 自尊心、類似性と差異化
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念と理論上の位置

タジフェルとターナー(1979年)の社会的アイデンティティ理論は、人々の自己概念の一部が集団への所属から生じるとみます。そのため人々は肯定的な社会的アイデンティティを望み、そのために自集団を関連する外集団と比べて有利な違いを探そうとします。これが肯定的弁別性の動機です。最小条件集団パラダイムで、意味のない基準で分けられた集団でも、人々が利益の絶対量より外集団との差を広げる分配を選んだことが、この動機の代表的な証拠と解釈されています。タジフェル(1982年)は、この比較の過程が集団間関係全般を理解する鍵だとまとめました。

低地位集団の戦略

比較の結果が不利な低地位集団の成員は、肯定的弁別性を回復するための戦略をとります。集団の境界が開かれていればより高い集団へ移る個人的移動を、境界は閉じているが地位体系が安定していれば比較の次元を変えたり別の比較対象を選んだりする社会的創造性を、地位体系が不当で変えられると見えれば集団レベルの社会的競争をとるとみます。ライトら(1990年)は、境界が少しでも開いていれば人々が集団的抗議より個人的な戦略を選ぶことを示しました。エレマーズら(2002年)は、こうした対応がアイデンティティへの同一視の程度によって異なるとまとめました。

自尊心、類似性と差異化

ルービンとヒューストン(1998年)は、集団間の差異化が自尊心を高め、低い自尊心が差異化を促すという「自尊心仮説」を検討し、前者の主張は比較的支持されるが後者は根拠が弱いとしました。ブリューワー(1991年)の最適弁別性理論は、人々が所属の欲求と区別の欲求のあいだのバランスを求めるとみて、弁別性の動機を別の角度から説明します。イェッテン、スピアーズ、ポストメス(2004年)はメタ分析で、外集団とあまりに似ていると区別されようとして差異化が大きくなるという予測と、似ているほど互いに惹かれるという予測が状況によってともに現れ、内集団同一視が高いほど類似性への反発的な差異化が大きくなることを示しました。

よくある質問

肯定的弁別性を簡単に言うと?
「私たちの集団はほかの集団と違っていて、よりすぐれている」と感じたいという気持ちです。
低地位集団はどう対応しますか?
ほかの集団へ移る、比較の基準を変える、集団でともに地位の変化を求める、といったかたちで対応します。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Tajfel, H., & Turner, J. C. (1979). An integrative theory of intergroup conflict. In W. G. Austin & S. Worchel (Eds.), The social psychology of intergroup relations (pp. 33–47). Brooks/Cole. 肯定的弁別性の動機を初めて示した社会的アイデンティティ理論の原典で、概念の出典を見るのに参考になります。
  2. Tajfel, H. (1982). Social psychology of intergroup relations. Annual Review of Psychology, 33, 1–39. タジフェルが集団間関係の研究をまとめた概観で、理論の文脈を見るのに役立ちます。
  3. Wright, S. C., Taylor, D. M., & Moghaddam, F. M. (1990). Responding to membership in a disadvantaged group: From acceptance to collective protest. Journal of Personality and Social Psychology, 58(6), 994–1003. 低地位集団の対応戦略を実験した研究で、アイデンティティ管理の戦略を見るのに参考になります。
  4. Brewer, M. B. (1991). The social self: On being the same and different at the same time. Personality and Social Psychology Bulletin, 17(5), 475–482. 同化と差異化の欲求のバランスを扱った最適弁別性理論で、関連理論を見るのに役立ちます。
  5. Rubin, M., & Hewstone, M. (1998). Social identity theory's self-esteem hypothesis: A review and some suggestions for clarification. Personality and Social Psychology Review, 2(1), 40–62. 肯定的弁別性と自尊心仮説を検討した概観で、動機の根拠を見るのに参考になります。
  6. Ellemers, N., Spears, R., & Doosje, B. (2002). Self and social identity. Annual Review of Psychology, 53, 161–186. アイデンティティ脅威と対応の仕方をまとめた概観で、近年の理解を見るのに役立ちます。
  7. Jetten, J., Spears, R., & Postmes, T. (2004). Intergroup distinctiveness and differentiation: A meta-analytic integration. Journal of Personality and Social Psychology, 86(6), 862–879. 集団間の類似性と差異化の関係をメタ分析した研究で、実証的な根拠を見るのに参考になります。

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。