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ラポポートの法則

🔬 自然科学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ラポポートの法則とは、赤道から極地へ、つまり高緯度に行くほど、その地域にすむ動植物の種の緯度方向の分布範囲が平均して広くなる傾向があるという生物地理学の一般化です。アルゼンチンの生態学者エドゥアルド・ラポポート(1975年)の観察に、ジョージ・スティーブンス(1989年)が「ラポポートの法則」と名づけました。
目次
  1. 1. 起源と基本的な観察
  2. 2. 気候変動性仮説
  3. 3. 批判とメタ分析
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

起源と基本的な観察

ラポポート(1975年、1982年)は『分布域学』で種の地理的分布範囲を体系的に分析し、北米の哺乳類の亜種の分布範囲が北へ行くほど広くなることを指摘しました。スティーブンス(1989年)はこの観察を樹木、軟体動物、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類へと広げ、緯度が高いほど種の緯度範囲が広くなるという一般的な規則としてまとめ、「ラポポートの法則」と名づけました。スティーブンス(1992年、1996年)はさらに、この規則を標高や海の深さの勾配にまで拡張しました。

気候変動性仮説

スティーブンスが示した代表的な説明は気候変動性仮説です。高緯度地域は季節による気温差が大きいため、そこにすむ種は広い温度範囲に耐えられるように進化し、その結果より広い地域に分布できるというものです。これは、熱帯の峠は生物にとってより高い障壁になるというジャンセン(1967年)の仮説と同じ論理です。サンデー、ベイツ、ダルビー(2011年)は、変温動物の耐熱範囲が緯度とともに広がることを示した世界規模の分析で、この考えを部分的に支持しました。スティーブンスはまた、熱帯には分布の狭い種が多く、周辺から流れ込む個体も多いため種多様性が高くなるという説明も示しました。

批判とメタ分析

ロード、ヒープ、ヒープ(1993年)は海産硬骨魚類ではこの法則が成り立たないと報告し、ロード(1996年)は、この現象は主に北半球高緯度の局所的なものだと主張しました。コルウェルとハート(1994年)は、境界のある領域内で分布範囲をランダムに配置しても似たパターンが現れうるとして、統計的な見かけである可能性を指摘しました。ガストン、ブラックバーン、スパイサー(1998年)は「墓碑銘を書くときか?」と題した論文で、この法則は一般的な規則というより一部の地域と分類群に限られたパターンだと評価しました。ルッジェーロとヴェレンクラウト(2007年)のメタ分析は全体として弱い正の傾向を確認しましたが、分析方法や地域によって差が大きいと報告しています。ガストン(2003年)は、分布域研究全体のなかにこの議論を位置づけています。

よくある質問

ラポポートの法則を簡単に説明すると?
赤道近くの生物は狭い地域にだけすむことが多く、極地に近い生物ほどより広い地域にわたってすむ傾向がある、ということです。
この法則は普遍的なのですか?
北半球の陸上生物では比較的よく当てはまりますが、海産魚類などではあまり当てはまらず、普遍的な法則というより地域や分類群によって異なるパターンとみなされています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Rapoport, E. H. (1975). Areografía: Estrategias Geográficas de las Especies. México: Fondo de Cultura Económica.
  2. Rapoport, E. H. (1982). Areography: Geographical Strategies of Species. Oxford: Pergamon Press.
  3. Stevens, G. C. (1989). The latitudinal gradient in geographical range: How so many species coexist in the tropics. American Naturalist, 133(2), 240–256.
  4. Stevens, G. C. (1992). The elevational gradient in altitudinal range: An extension of Rapoport's latitudinal rule to altitude. American Naturalist, 140(6), 893–911.
  5. Stevens, G. C. (1996). Extending Rapoport's rule to Pacific marine fishes. Journal of Biogeography, 23(2), 149–154.
  6. Janzen, D. H. (1967). Why mountain passes are higher in the tropics. American Naturalist, 101(919), 233–249.
  7. Rohde, K., Heap, M., & Heap, D. (1993). Rapoport's rule does not apply to marine teleosts and cannot explain latitudinal gradients in species richness. American Naturalist, 142(1), 1–16.
  8. Rohde, K. (1996). Rapoport's rule is a local phenomenon and cannot explain latitudinal gradients in species diversity. Biodiversity Letters, 3(1), 10–13.
  9. Colwell, R. K., & Hurtt, G. C. (1994). Nonbiological gradients in species richness and a spurious Rapoport effect. American Naturalist, 144(4), 570–595.
  10. Gaston, K. J., Blackburn, T. M., & Spicer, J. I. (1998). Rapoport's rule: Time for an epitaph? Trends in Ecology & Evolution, 13(2), 70–74.
  11. Gaston, K. J. (2003). The Structure and Dynamics of Geographic Ranges. Oxford: Oxford University Press.
  12. Ruggiero, A., & Werenkraut, V. (2007). One-dimensional analyses of Rapoport's rule reviewed through meta-analysis. Global Ecology and Biogeography, 16(4), 401–414.
  13. Sunday, J. M., Bates, A. E., & Dulvy, N. K. (2011). Global analysis of thermal tolerance and latitude in ectotherms. Proceedings of the Royal Society B, 278(1713), 1823–1830.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。