温室効果の発見
地球の気候はもともと変化してきました。氷河期と間氷期は地球の軌道のわずかな変化などによって数万年の周期でくり返され、過去の急激な気候変化は大量絶滅とも関係しています。1824年、ジョゼフ・フーリエは大気が地球を温める毛布の役目をしていると推論しました。1856年、アメリカのユーニス・フットは二酸化炭素を入れたガラスびんが日なたでより熱くなる実験を発表し、1859〜61年、ジョン・ティンダルは水蒸気や二酸化炭素が赤外線(熱)を吸収することを精密に測りました。太陽の光は大気を通りぬけて地面を温め、地面が出す赤外線の電磁波を温室効果ガスがとらえる、これが温室効果です。1896年、スヴァンテ・アレニウスは二酸化炭素が2倍になれば気温が数度上がると計算しました。
積み重なる証拠
1938年、ガイ・カレンダーは化石燃料で増えた二酸化炭素がすでに気温を上げていると主張しましたが、はじめは懐疑的に受け止められました。1958年からチャールズ・デービッド・キーリングがハワイのマウナロアで測った二酸化炭素濃度は毎年着実に上がり、「キーリング曲線」とよばれます。産業革命前に約280ppmだった濃度は、最近420ppmを超えました。1967年、真鍋淑郎とリチャード・ウェザラルドは大気の放射と対流をあわせて計算する気候モデルをつくり、真鍋はこの業績で2021年にノーベル物理学賞を受けました。1988年に設立された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2021年の報告書で、人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させてきたことは「疑う余地がない」と評価しました。氷河や海氷の減少、海面上昇、海洋酸性化が観測されています。
影響と対策
気温が上がると、熱波、干ばつ、集中豪雨、山火事がふえ、強まるおそれがあります。健康面では熱中症、心臓や呼吸器の病気の悪化、蚊が運ぶ感染症の分布の変化、食料や水の不足が心配されます。猛暑の日は日中の屋外活動をひかえ、こまめに水分をとり、高齢者や子ども、持病のある人に気を配ることが大切です。2015年のパリ協定は、温暖化を産業革命前から2℃より十分低く、できれば1.5℃におさえる目標を定めました。対策は、再生可能エネルギーや省エネで排出を減らす「緩和」と、防災や水管理などで変化にそなえる「適応」に分かれます。森林や海が光合成で二酸化炭素を吸収する炭素吸収源を守ることも大切です。日本は2050年カーボンニュートラルを目標にかかげています。地球の将来の気温は、これからの排出量に大きく左右されます。
よくある質問
- 天気と気候はどう違う?
- 天気は日々の大気の状態で、気候はふつう30年以上の天気を平均したパターンです。寒い冬の日があっても、地球温暖化がまちがいだということにはなりません。
- 個人の行動に意味はある?
- 省エネ、公共交通の利用、食品ロスを減らすといった行動は排出削減に役立ちます。ただし大きな削減にはエネルギーの仕組みや政策の変化も必要だというのが一般的な見方です。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Fourier, J. (1824). Remarques générales sur les températures du globe terrestre et des espaces planétaires. Annales de Chimie et de Physique, 27, 136–167.
- Foote, E. (1856). Circumstances affecting the heat of the sun's rays. American Journal of Science and Arts, 22, 382–383.
- Tyndall, J. (1861). On the absorption and radiation of heat by gases and vapours. Philosophical Transactions of the Royal Society of London, 151, 1–36.
- Arrhenius, S. (1896). On the influence of carbonic acid in the air upon the temperature of the ground. Philosophical Magazine, 41(251), 237–276.
- Callendar, G. S. (1938). The artificial production of carbon dioxide and its influence on temperature. Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society, 64(275), 223–240.
- Keeling, C. D. (1960). The concentration and isotopic abundances of carbon dioxide in the atmosphere. Tellus, 12(2), 200–203.
- Manabe, S., & Wetherald, R. T. (1967). Thermal equilibrium of the atmosphere with a given distribution of relative humidity. Journal of the Atmospheric Sciences, 24(3), 241–259.
- Hansen, J., et al. (1981). Climate impact of increasing atmospheric carbon dioxide. Science, 213(4511), 957–966.
- IPCC. (2021). Climate Change 2021: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group I to the Sixth Assessment Report. Cambridge: Cambridge University Press.
