氷河が動いていたという発見
18世紀まで、アルプスの谷に散らばる巨大な岩(迷子石)はノアの洪水が運んだものと考えられていました。1837年、スイスのルイ・アガシは、これらの岩や削られた岩盤がかつてはるかに広かった氷河の跡だとする「氷河期(Eiszeit)」説を発表し、1840年の『氷河の研究』にまとめました。1870年代、スコットランドのジェームズ・クロールは地球の軌道の変化が氷河期を引き起こすと提案し、セルビアのミルティン・ミランコビッチは第一次世界大戦中の抑留時代から手計算を続けて、1941年に緯度ごとの日射量の変化を完成させました。1896年、スヴァンテ・アレニウスは氷河期を説明しようとして、二酸化炭素が減ると地球が冷え、増えると暖まるという計算を初めて示しました。
軌道の周期と二酸化炭素
ミランコビッチの理論では、公転軌道のゆがみ(約10万年)、自転軸の傾き(約4万1000年)、自転軸の歳差運動(約2万3000年)が重なり、北半球の夏の日射量が変わります。夏が涼しいと冬の雪が解けきらずに積もり、氷床が育ちます。この理論は長く疑われていましたが、1955年にチェザレ・エミリアーニが有孔虫の殻の酸素同位体で過去の気温を測り、1976年にヘイズ、インブリー、シャクルトンが深海堆積物からまさにこの周期を見つけ、「氷河期のペースメーカー」と認められました。1999年に発表された南極ボストーク氷床コアは、42万年にわたり二酸化炭素と気温が連動して上下したことを示し、軌道の変化が引き金を引き、温室効果ガスと氷の反射が変化を増幅することが分かりました。出発点は、太陽系のほかの惑星の重力が地球の軌道を揺らすことです。
最終氷期とスノーボールアース
約2万年前の最終氷期最盛期には、北アメリカと北ヨーロッパが厚さ数kmの氷に覆われ、海面が約120m低かったため、日本列島は北海道がサハリン経由で大陸とつながり、本州・四国・九州も一続きでした。マンモスやケサイが生き、人々はベーリング陸橋を渡ってアメリカ大陸へ入りました。約1万1700年前に暖かい間氷期である完新世が始まり、農耕が広がりました。南極とグリーンランドに氷床がある現在も、地質学的には約260万年前に始まった「第四紀氷河時代」の中の間氷期です。さらに昔、約7億年前には赤道まで凍りついた「スノーボールアース」があったという仮説を、1998年にポール・ホフマンらが唱えました。現在、人間が出す温室効果ガスは次の氷期を数万年遅らせるほど大きく、氷期の終わりの気温上昇よりはるかに速く地球を暖めています。氷河期の動物の消滅は大量絶滅の研究ともつながります。
よくある質問
- 次の氷河期はいつ来るの?
- 軌道の計算ではもともと数万年先ですが、人間が増やした二酸化炭素のために、次の氷期は少なくとも5万年以上、場合によっては10万年以上遅れるとする研究が多くあります。
- 氷河期には地球全体が氷だったの?
- いいえ。最終氷期でも氷床は主に高緯度や山岳にあり、熱帯は現在より数度涼しく乾燥していた程度です。地球全体が凍った「スノーボールアース」は数億年前の出来事です。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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