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沸点と圧力

🔬 自然科学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ひとことで言うと、液体は蒸気圧が周囲の圧力と等しくなる温度で沸騰するため、外圧が低いと沸点は下がり、外圧が高いと沸点は上がります。高い山でご飯が生煮えになり、圧力鍋で早く煮える理由はこれです。
目次
  1. 1. 蒸気圧と沸騰
  2. 2. 外圧による沸点の変化
  3. 3. クラウジウス・クラペイロンの式
  4. 4. 状態図で見る
  5. 5. 応用
  6. 6. 参考文献

蒸気圧と沸騰

密閉容器に液体を入れると、表面の分子の一部が気体となって飛び出し、やがて蒸発と凝縮の速さが等しい動的平衡に達します。このとき気体が示す圧力が蒸気圧(飽和蒸気圧)です。温度が上がると分子の運動エネルギーが大きくなり、蒸気圧は急激に増えます。蒸気圧が外圧に等しくなり、液体内部でも気泡が生じる状態が沸騰で、その温度が沸点です。外圧1気圧(101.325 kPa)での沸点を標準沸点といい、水は100 °Cです。

外圧による沸点の変化

  • 圧力が低いとき:標高が高くなると気圧が下がり、より低い温度で沸騰します。エベレスト山頂(約0.33気圧)では水は約70 °Cで沸騰し、食べ物がよく煮えません。
  • 圧力が高いとき:圧力鍋はふたを密閉して内部を約2気圧に高めるため、水は約120 °Cで沸騰し、調理時間が短くなります。病院の高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)も同じ原理です。
  • 分子間力の違い:同じ圧力でも、水のように水素結合が強い液体は蒸気圧が低く沸点が高く、エタノールやエーテルは沸点が低くなります。

クラウジウス・クラペイロンの式

クラペイロン(1834)はカルノーの熱機関理論を発展させて相転移曲線の傾きを表す式を示し、のちにクラウジウスがこれを熱力学的に定式化しました。気体を理想気体とみなし液体の体積を無視すると、次の近似式が得られます。

ln(P₂/P₁) = −(ΔHvap/R)(1/T₂ − 1/T₁)

ΔHvapはモル蒸発エンタルピー、Rは気体定数です。ある温度での蒸気圧がわかれば、別の圧力での沸点を見積もることができます。

状態図で見る

圧力‐温度の状態図で液体と気体を分ける蒸気圧曲線は、三重点(水では0.01 °C、611 Pa)から臨界点(水では約374 °C、22.1 MPa)まで続きます。曲線上のすべての点がその圧力での沸点です。臨界点を超えると液体と気体の区別がなくなり、超臨界流体となります。

応用

  • 減圧蒸留:圧力を下げて沸点を下げれば、熱に弱い物質を分解させずに分離できます。石油精製やロータリーエバポレーターに使われます。
  • 凍結乾燥と低温濃縮:低圧で水分を低温のまま除き、食品や医薬品の品質を保ちます。
  • 蒸気発電と冷凍機:ボイラーや冷媒サイクルは、圧力によって沸点が変わる性質を利用して熱を運びます。

参考文献

  1. Clapeyron, É. (1834). Mémoire sur la puissance motrice de la chaleur. Journal de l'École Royale Polytechnique, 14(23), 153–190.
  2. Atkins, P., de Paula, J., & Keeler, J. (2018). Atkins' Physical Chemistry (11th ed.). Oxford: Oxford University Press.

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この記事は2026年10月15日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。