石の中の生き物に気づく
古代ギリシャのクセノパネスは山の上の貝の化石を見て、そこがかつて海だったと推測し、中国・宋代の沈括も『夢渓筆談』に同じような考えを残しました。しかし長いあいだ、化石は石がひとりでに生き物の形に育ったものだという考えも広く信じられていました。1665年、ロバート・フックは顕微鏡で化石の木が生きた木と同じ構造をもつことを示し、1669年にはニコラウス・ステノがサメの歯と「舌石」を比べて化石が実際の生物の遺骸だと主張し、下の地層ほど先に積もったという地層累重の法則を立てました。1815年、ウィリアム・スミスは地層ごとに特有の化石が含まれることを利用して、イギリス初の地質図をつくりました。
化石のでき方と年代
死んだ生物の多くは分解されますが、すばやく泥や砂に埋もれると骨や殻のようなかたい部分が残り、地下水の鉱物がしみこんで石のように変わることもあります。足跡や巣穴、ふんなど生活の跡が残ったものは生痕化石、樹脂に閉じこめられた昆虫は琥珀の化石とよばれます。化石になる生物はごく一部なので、化石記録には多くの空白があります。ジョルジュ・キュヴィエはマンモスのようにいまはいない動物の化石を研究して絶滅が実際に起きたことを示し、大量絶滅の研究へつながりました。化石の年代は地層の順序と放射性元素の崩壊の速さで測ります。1949年ごろウィラード・リビーらが開発した放射性炭素年代測定は約5万年以内の有機物に、ウランやカリウム・アルゴン法は数百万〜数十億年前の岩石に使われます。
進化の証拠となった化石
チャールズ・ダーウィンは1859年の『種の起源』で、化石記録が不完全であることを認めつつ、化石は生物が長い時間をかけて変わってきたことを示すと考えました(自然選択)。その後、始祖鳥(1861年)、カナダのバージェス頁岩のカンブリア紀の動物たち、1974年にエチオピアで見つかった約320万年前の人類の祖先「ルーシー」、2004年に発見され2006年に発表された魚と四足動物の間のティクターリクなどの「移行化石」が進化の流れを埋めてきました。2005年、メアリー・シュバイツァーらはティラノサウルスの骨から軟組織のように見える構造を報告しましたが、その正体はいまも議論があります。日本では1968年に福島県で高校生が見つけたフタバスズキリュウが有名で、北海道の「むかわ竜」など恐竜化石の発見も続いています。化石の花粉や殻は氷河期などの昔の気候を教えてくれ、石炭や石油という化石燃料も昔の生物に由来します。
よくある質問
- 化石のDNAから恐竜をよみがえらせられる?
- いまの科学では不可能だというのが一般的な見方です。DNAは時間とともに分解され、これまでに読まれた最も古いDNAも約200万年前のもので、6600万年前の恐竜のDNAは残っていないと考えられています。
- 化石は自由に持ち帰っていい?
- 国や場所によって違います。天然記念物などとして保護されている産地で無断で採集すると罰せられることもあるので、見つけたら写真を撮って博物館や自治体に知らせましょう。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Hooke, R. (1665). Micrographia: or some physiological descriptions of minute bodies made by magnifying glasses. London: J. Martyn and J. Allestry.
- Steno, N. (1669). De solido intra solidum naturaliter contento dissertationis prodromus. Florence.
- Cuvier, G. (1812). Recherches sur les ossemens fossiles de quadrupèdes. Paris: Deterville.
- Smith, W. (1815). A Delineation of the Strata of England and Wales, with Part of Scotland. London: J. Cary.
- Darwin, C. (1859). On the Origin of Species by Means of Natural Selection. London: John Murray.
- Arnold, J. R., & Libby, W. F. (1949). Age determinations by radiocarbon content: checks with samples of known age. Science, 110(2869), 678–680.
- Johanson, D. C., & White, T. D. (1979). A systematic assessment of early African hominids. Science, 203(4378), 321–330.
- Gould, S. J. (1989). Wonderful Life: The Burgess Shale and the Nature of History. New York: W. W. Norton.
- Schweitzer, M. H., Wittmeyer, J. L., Horner, J. R., & Toporski, J. K. (2005). Soft-tissue vessels and cellular preservation in Tyrannosaurus rex. Science, 307(5717), 1952–1955.
- Daeschler, E. B., Shubin, N. H., & Jenkins, F. A. (2006). A Devonian tetrapod-like fish and the evolution of the tetrapod body plan. Nature, 440(7085), 757–763.
