リフレーミングとは
リフレーミング(reframing)とは、ある状況の事実は変えずに、それを理解する枠組み(フレーム)を変えて別の意味を見いだす技法です。同じ絵でも額縁を変えると印象が変わるのと同じです。ワツラウィック、ウィークランド、フィッシュ(1974)は、状況を体験する概念的・感情的な視点を変え、同じ事実に同じくらい、あるいはよりよく当てはまる別の枠に置き直すことだと定義しました。
📌 ひと目でわかる
- 体系化
- ワツラウィック、ウィークランド、フィッシュ(MRI、1974年)
- 核心
- 事実はそのまま、意味の枠組みを変える
- 目的
- 問題を別の角度から見て、新しい行動(第二次変化)を可能にする
- 関連用語
- リラベリング、肯定的意味づけ、認知的再評価
なぜ効果があるのか
MRIのグループは、問題が続くのは解決しようとする努力そのものが問題を維持しているからだと考えました。同じ枠の中でがんばるのは第一次変化にすぎず、枠そのものが変わって初めて第二次変化が起こります。この考え方はコミュニケーションの公理やダブルバインド理論と同じ系譜にあります。
言い換えの例
日本の学校や子育ての現場では、短所を長所に言い換える「リフレーミング辞典」のような教材もよく使われています。
| もとの言葉 | リフレーミング |
|---|---|
| うちの子は頑固で困る | 自分の考えを貫く力がある |
| 夫がいつも口うるさい | 家のことに一緒に関わりたいと思っている |
| 思春期の娘が部屋にこもって話さない | 自立の練習中で、自分の空間が必要な時期 |
| 試験に落ちた | 何を補えばいいかがはっきりした |
| 母が過干渉だ | 心配の伝え方が不器用なのかもしれない |
| 落ち着きがない | 好奇心旺盛でエネルギッシュ |
研究でも効果が確認されています。非行のある思春期の子どもの家族を対象にしたロビンズら(1996)の研究では、治療者のさまざまな発言のうち、リフレーミングの直後だけ子どもの平均的な反応が否定的でない範囲にとどまりました。
家族療法・カウンセリングでの使い方
- まず十分に聴く:理解されたと感じる前の言い換えは「話を軽く扱われた」と受け取られかねません。
- 症状の裏にある意図を探す:守りたい、関心がほしい、つながりたいといった思いに名前をつけます。
- 問題を関係の中に置き直す:「この子が問題」を「家族が新しい段階に適応している途中」と捉え直します。
- 新しい枠でできる行動を一緒に考える:例外を探す解決志向ブリーフセラピーと組み合わせると効果的です。
ミラノ派は、家族全員の行動を善意として意味づける肯定的意味づけ(ポジティブ・コノテーション)へと発展させました。
認知的再評価・フレーミング効果との関係
- 認知的再評価:グロス(2002)の感情調整研究では、感情を抑え込むより状況の意味を捉え直す方が、否定的感情を減らし、記憶や対人関係への悪影響も少ないと報告されています。認知療法の認知再構成とも近い考え方です。
- フレーミング効果:トヴェルスキーとカーネマン(1981)は「200人が助かる」と「400人が死ぬ」のように、同じ内容でも表現で選択が変わることを示しました。フレーミング効果は判断の偏りを説明する概念、リフレーミングはそれを治療的に活かす技法です(フレーミング効果)。
注意点
- 虐待や暴力など危険な行動を美化するために使ってはいけません。「叩くのも愛情」といった解釈は二次被害になります。
- 無理なポジティブ変換はかえって信頼を損ないます。新しい枠は事実に同じくらいよく当てはまる必要があります。
よくある質問
- リフレーミングとは簡単に言うと?
- 事実はそのままに、見方の枠組みを変えて別の意味を見いだすことです。短所を長所に言い換えるのが身近な例です。
- リフレーミングの例を教えてください。
- 「頑固」を「意志が強い」、「口うるさい」を「一緒に関わりたい」、「落ち着きがない」を「好奇心旺盛」と言い換える、などです。
- リフレーミングとフレーミング効果の違いは?
- フレーミング効果は表現の違いで判断が変わる認知バイアス、リフレーミングはその原理を利用して問題の見方を変える援助技法です。
参考文献
- Watzlawick, P., Weakland, J. H., & Fisch, R. (1974). Change: Principles of Problem Formation and Problem Resolution. New York: W. W. Norton.
- Robbins, M. S., Alexander, J. F., Newell, R. M., & Turner, C. W. (1996). The immediate effect of reframing on client attitude in family therapy. Journal of Family Psychology, 10(1), 28–34.
- Gross, J. J. (2002). Emotion regulation: Affective, cognitive, and social consequences. Psychophysiology, 39(3), 281–291.
- Tversky, A., & Kahneman, D. (1981). The framing of decisions and the psychology of choice. Science, 211(4481), 453–458.
