登場の背景
テレビや新聞広告の時代には、広告が売上にどれだけ貢献したかを正確に知るのは困難でした。「広告費の半分は無駄だと分かっているが、どちらの半分かが分からない」という百貨店経営者ジョン・ワナメーカーの言葉が有名です。2000年にGoogle AdWordsがクリック課金型の検索広告を始め、Webサイトにコンバージョン計測タグが普及すると、広告クリックから購入までをつなげて見られるようになりました。その後ECとFacebook・Instagram広告の拡大でROASはパフォーマンスマーケティングの中心的なKPIとなり、Googleは2010年代に目標ROASに合わせて自動入札する機能を導入しました。
計算と損益分岐点ROAS
広告費10万円で40万円の売上が出ればROASは400%です。ただし売上は利益ではないため、利益率から損益分岐点ROASを確認する必要があります。損益分岐点ROAS=1÷利益率なので、利益率25%の商品はROAS400%でやっとトントンです。ROASは売上基準、ROIは費用を差し引いた利益基準という違いがあり、同じキャンペーンでもROASは高いのにROIはマイナスということもありえます。
落とし穴と改善
ROASはアトリビューション(どの広告に成果を帰属させるか)によって大きく変わります。もともと買うつもりの人に指名検索広告を出せばROASは高く出ますが、実際の追加売上は小さいかもしれません。2021年のAppleのアプリトラッキング透明性(ATT)導入以降は計測精度も下がりました。初回購入のROASだけを見るとリピートで利益を出す事業を過小評価するため、顧客生涯価値(LTV)や顧客獲得コスト(CPA)と併せて見ることが大切です。広告クリエイティブとランディングページをA/Bテストし、成果の高いターゲットに予算を集中させるのが基本的な改善策です。
よくある質問
- ROASは何%なら良い?
- 業種や利益率によりますが、最低でも損益分岐点ROAS(1÷利益率)を上回る必要があります。
- ROASとROIの違いは?
- ROASは広告費に対する売上、ROIは投資に対する純利益を見ます。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Google Ads Help. (2025). About Target ROAS bidding.
- Meta Business Help Center. (2025). About purchase ROAS.
- Farris, P. W., Bendle, N. T., Pfeifer, P. E., & Reibstein, D. J. (2010). Marketing Metrics (2nd ed.). Pearson.
