なぜ重要になったか
1990年、ハーバード・ビジネス・レビューでライクヘルドとサッサーは、新規顧客の獲得には既存顧客の維持よりはるかに多くの費用がかかると示し、顧客の経済性という視点を広めました。2000年代にSaaSが普及すると、顧客が毎月少しずつ支払う仕組みでは獲得費用の回収に時間がかかることが重要になりました。2010年にベンチャーキャピタリストのデビッド・スコックが「SaaS指標」でLTV/CAC 3倍、回収期間12か月という基準を示して以来、CACは投資家がスタートアップを評価する代表的な指標となっています。
計算方法
1か月にマーケティング費300万円と営業人件費200万円をかけて新規顧客500人を獲得したなら、CACは1万円です。自然流入も含めたすべての新規顧客で割ると「ブレンデッドCAC」、広告経由の顧客だけで割ると「有料CAC」で、後者のほうが通常高くなります。CACは顧客が生涯にもたらす利益である顧客生涯価値(LTV)と比べて初めて意味を持ちます。LTV/CACが1未満なら顧客を獲得するほど赤字で、3倍以上なら健全とされます。CAC回収期間は「CAC÷顧客1人あたりの月間粗利」で、短いほどキャッシュフローが良くなります。
下げる方法
広告の競争が激しくなるほどCACは上がる傾向があるため、広告費に頼らないチャネルが重要です。SEOとコンテンツで自然流入を増やし、紹介特典のように顧客が顧客を連れてくるグロースハックの施策を取り入れ、マーケティングファネルの各段階の転換率を高めれば、同じ費用でより多くの顧客を獲得できます。解約率を下げてLTVを伸ばすことも比率の改善につながります。
よくある質問
- CACに人件費も含める?
- はい、営業・マーケティング担当者の人件費やツール費用まで含めるのが正確です。
- LTV/CACが5倍以上なら必ず良い?
- 高すぎる場合は成長投資が不足している可能性があり、マーケティングを増やす余地があります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Skok, D. (2010). SaaS Metrics – A Guide to Measuring and Improving What Matters. For Entrepreneurs.
- Gupta, S., & Lehmann, D. R. (2005). Managing Customers as Investments. Wharton School Publishing.
- Reichheld, F. F., & Sasser, W. E. (1990). Zero defections: Quality comes to services. Harvard Business Review, 68(5), 105–111.
