社会的手抜きとは
社会的手抜き(social loafing)とは、複数の人で一緒に作業すると、一人で作業するときより一人あたりの努力が減ってしまう現象です。大学のグループワークで「誰かがやるだろう」と任せきりにするフリーライダーが典型的な例です。
- 名づけた研究
- ラタネ、ウィリアムズ、ハーキンス(1979)
- 関連する概念
- リンゲルマン効果、フリーライダー
- 核心
- 個人の貢献が見えないほど努力が減る
- 対策
- 貢献の可視化、課題の意味づけ、小さなチーム
リンゲルマン効果から始まった
19世紀末、フランスの農業技術者マクシミリアン・リンゲルマンは、綱を引く人数が増えるほど一人あたりの力が小さくなることを見つけました。これがリンゲルマン効果です。ただし、ここにはタイミングが合わない「協調の損失」も含まれていました。
拍手と叫び声の実験
人は、みんなで叫んでいると思うと、一人のときより小さな声しか出しませんでした。ラタネら(1979)は、目隠しをしてヘッドホンをつけた参加者に、できるだけ大きく拍手したり叫んだりしてもらいました。実際には一人なのに「何人かと一緒」と信じさせると、一人が出す音は小さくなりました。
この実験は、協調の問題ではなくやる気の低下だけで努力が下がることを示しました。
なぜ起こるのか
| 原因 | 説明 |
|---|---|
| 評価可能性が低い | 自分の貢献が見えなければ、手を抜いても分からない。 |
| 責任の分散 | 「ほかの誰かがやるだろう」と考える。 |
| 課題への関心が低い | 課題に意味を感じない、結果が自分にとって重要でない。 |
| 公平さへの不満 | ほかの人がやらないなら自分だけ損したくない(「カモ効果」)。 |
カラウとウィリアムズ(1993)のメタ分析によると、社会的手抜きはさまざまな課題や文化で見られますが、個人の成果を評価できるとき、課題に意味があるとき、知り合いと作業するとき、集団が小さいときには小さくなりました。女性や、東アジアなど集団主義的な文化の参加者では効果が小さい傾向もありました。
グループワークで減らすには
- 役割と貢献を記録する。担当を決め、共有ドキュメントの編集履歴などで貢献を見える化します。
- 相互評価を取り入れる。メンバー同士で貢献度を評価すると、フリーライダーが減ります。
- チームを小さくする。3〜5人くらいが目安です。
- 課題に意味をもたせる。実際の依頼者や発表相手がいると、取り組みが深まります。
誰も責任を感じない共有資源の問題は共有地の悲劇とも似ています。
よくある質問
- 社会的手抜きとは?
- 複数の人で作業すると、一人で作業するときより各自の努力が減ってしまう現象です。
- リンゲルマン効果と社会的手抜きは同じですか?
- リンゲルマン効果は人数が増えると一人あたりの力が減る現象全体を指し、社会的手抜きはそのうちやる気が下がる部分を指します。
- グループワークのフリーライダーを減らすには?
- 役割と貢献を記録し、相互評価を取り入れ、チームを小さくし、課題の意味をはっきりさせることが効果的です。
参考文献
- Latané, B., Williams, K., & Harkins, S. (1979). Many hands make light the work: The causes and consequences of social loafing. Journal of Personality and Social Psychology, 37(6), 822–832.
- Karau, S. J., & Williams, K. D. (1993). Social loafing: A meta-analytic review and theoretical integration. Journal of Personality and Social Psychology, 65(4), 681–706.
