アッシュの同調実験とは
アッシュの同調実験は、社会心理学者ソロモン・アッシュが1950年代に行った実験です。誰が見ても答えが明らかな問題で、周りの全員が同じ間違った答えを言ったら、人は自分の目を信じるのか、それとも多数派に合わせるのかを調べました。日本でいう「同調圧力」を考えるときの古典的な研究です。
📌 ひと目でわかる
- 研究者
- ソロモン・アッシュ
- 時期
- 1950年代
- 課題
- 基準の線と同じ長さの線を選ぶ
- 主な結果
- 決定的な試行の回答の約3分の1が多数派に同調
実験の方法
- 7〜9人が部屋に座りますが、本当の参加者は1人だけで、残りはサクラです。
- 基準の線と3本の比較線を見せ、同じ長さの線を順番に声に出して答えます。
- 課題はとても簡単で、1人で答えると誤りは1%未満でした。
- ところが特定の試行で、サクラが全員同じ間違った答えを言います。本当の参加者は最後のほうに答えます。
結果
正解が目の前に見えていても、人は多数派に合わせました。決定的な試行での回答の約3分の1(約37%)が多数派の誤答と同じで、参加者の約4分の3が少なくとも1回は同調しました。
一方、一度も同調しなかった人も約4分の1いて、アッシュ自身は人の独立性にも注目しました。実験後の面接で、同調した参加者は「自分の見間違いだと思った」「浮きたくなかった」と話しています。
同調を変えた条件
| 条件 | 同調の変化 |
|---|---|
| 多数派が1人だけ | ほとんど同調しない |
| 多数派が3人以上 | 同調が大きく増え、それ以上はほぼ横ばい |
| 正しい答えを言う味方が1人いる | 同調が大きく減る |
| 答えを紙にこっそり書く | 同調が減る |
全員一致が崩れた瞬間に圧力は大きく弱まりました。他人と比べて判断する傾向は社会的比較理論ともつながります。
文化と時代による違い
ボンドとスミス(1996)は17か国133の研究をメタ分析しました。アメリカでは1950年代以降、同調の水準が少しずつ下がり、集団主義的な文化では個人主義的な文化より同調が高い傾向がありました。「空気を読む」ことが求められる日本の会議や職場も、こうした規範的な圧力の例として語られます。
教室や会議での生かし方
- まず個別に意見を書いてもらう。匿名投票や付箋は同調を減らします。
- ひとりの反対意見を守る。味方が1人いるだけで、ほかの人も率直になれます。
- 上の立場の人は最後に話す。権威者が先に意見を言うと同調が強まります。集団思考も参考にしてください。
よくある質問
- アッシュの同調実験とは?
- 明らかに間違った答えを言う多数派の前で、人が多数派に従うかを調べたソロモン・アッシュの線分実験です。
- アッシュの実験の結果は?
- 決定的な試行での回答の約3分の1が多数派の誤答に従い、参加者の約75%が少なくとも1回は同調しました。
- 同調を減らすには?
- 全員一致を崩す味方が1人いたり、答えを人前で言わずに書かせたりすると、同調は大きく減ります。
参考文献
- Asch, S. E. (1956). Studies of independence and conformity: I. A minority of one against a unanimous majority. Psychological Monographs: General and Applied, 70(9), 1–70.
- Bond, R., & Smith, P. B. (1996). Culture and conformity: A meta-analysis of studies using Asch’s (1952b, 1956) line judgment task. Psychological Bulletin, 119(1), 111–137.
